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主要メーカー総チェック、大画面テレビの選び方麻倉怜士のデジタル閻魔帳(4/5 ページ)

» 2007年06月06日 07時00分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

――ここからはプラズマメーカーについてお話を伺っていきます。まずは新工場「三番館」による高輝度パネルを搭載した50V型「P50-XR01」を発表した日立製作所からお願いします。

photo “Wooo”「P50-XR01」

麻倉氏: ハイコントラスト/高解像度が業界的な流れではありますが、「人の眼からみた場合にそれでいいのか」という投げかけを行うモデルですね。利用者にストレスをかけないという心配りを感じさせますね(関連記事)

 ですが、フルHDらしい驚きに欠ける感も否めません。同社のプラズマパネルは「ALISパネル」ですが、ALISはインターレースなので、放送コンテンツはともかく、プログレッシブで収録されているパッケージメディアの再生を考えるとそれでいいのかという疑問も湧きます。ALISが同社プラズマ事業の立ち上げに大きく貢献したのは確かですが、限界が近いことも伺わせます。

 最新の01シリーズではリムーバブルHDDの「iVDR」の採用も大きなトピックです。東芝も液晶テレビのH3000シリーズでHDDを搭載していますが、両社のアプローチは全くの逆です。

 日立は意図的にHDDを操作するという感覚を前面に押し出すことで、レコーダー内蔵テレビとしての存在感を明確なものにしています。それに、記録メディアとしてBlu-ray DiscやHD DVDと比較したとき、iVDRは取り出せるHDDという利便性よりも、その大容量さによって(注:iVDRは既に160Gバイトまでが製品化されており、さらに大容量化するロードマップが提示されている)、超大容量のパッケージメディアとして立ち位置を確保する可能性があります。

 そうなると、iVDRは私も含めたエアチェックマニアにとって垂涎のメディアになる可能性を秘めていますが、そのためには価格の低下が絶対的に必要です。そうしないと、単なる高価なテンポラリーメディアにしかなりません。1ギガ=10円を実現できれば、家庭にも普及するでしょう。

――次は103V型から42V型までをフルHD「プラズマビエラ」でそろえ、ラインアップの充実を進めてきたパナソニックです。

麻倉氏: これまでにもパナソニックはプラズマの高画質化に力を入れており、最近では色再現性や階調表現にも注力しています。42V型のフルHD化についてはいろいろと超えなければならない問題もあったとはずですが、パネルの基本性能は相変わらず高いレベルにあります。

photo “VIERA”「TH-50PZ700SK」

 ただ、表面パネルには問題があるといわざるをえません。PZ700シリーズには「低反射クリアパネル」(注:ガラスとプラズマパネルの間に特殊なフィルターを挟み込み、そのフィルターで外光を吸収することで映り込みを抑えている)で映り込みの抑制を狙っていますが、拡散剤の影響か、ぎらつく感じがどうしても抜けきらないのです。

 特に、海や空といった広い面積を映し出すときに顕著で、蛍光灯の映り込みはかなり抑えられていますが、プラズマらしい艶っぽさがなくなり、つや消しのような感じになってしまうのがとても残念です。アンチリフレクションの考え方を再導入したほうがいいかもしれません。プラズマにおいてフィルターの影響は非常に大きいので、再考を促したい部分ですね。

――最後は「PDP-5000EX」で大きな支持を集めたパイオニアです。PDP-5000EXはテレビではないですが、その画質の高さは各所から称賛を集めていますね。

麻倉氏: 今年上半期にフルHDプラズマテレビの新製品は発表されませんでしたが、いまだに同社のプラズマテレビの画質は他社と比較しても高いレベルにあります。現行のプラズマテレビには、PDP-5000EXで培ったコントラスト拡大技術が投入されているほか、画素に“ひさし”を設けることで、照明の映り込みも非常に少ないです。深い黒を表現することができるので絵に力強さがあります。

 同社は既に年頭のInternational CESで、コントラスト比2万:1という“計り知れない黒を表示するプラズマ”を発表しており、このモデルは「黒をしっかりと表現」できます。製品化も間近なので、期待ができますね(関連記事)

photo International CESのPioneer プレスカンファレンスで発表された“計り知れない黒を表示するプラズマ”

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