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東京ミッドタウンが「ユビキタス・アートツアー」を開始六本木で芸術鑑賞

» 2007年06月12日 23時05分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 三井不動産は6月12日、東京・六本木の新名所「東京ミッドタウン」で「ユビキタス・アートツアー」を開始すると発表した。専用の携帯端末を持ち歩くと、タウン内に点在するアート作品まで案内し、音声や動画による解説を視聴できる。翌13日から実施する。

photophoto アート作品の前にくると解説画面が表示される

 東京ミッドタウンの大きなテーマの1つである“アート”を一般の買い物客や観光客にも紹介するのが目的。彫刻などのアートや建築など29作品を対象として、商業施設(ガレリア、プラザなど)やミッドタウン・ガーデン(緑地)を散策する7つのツアーコースを用意した。コースの中には、屋内だけを巡る「雨の日コース」や、時間がない人のための「30分ハイライトコース」などもある。

 いずれも人間のツアーガイドは同行しないが、利用者が迷子になることはない。携帯端末はナビゲーション機能を備えており、実際に見える風景と同じ写真を表示しながら音声で目的地まで誘導してくれる。

photophoto それぞれのコンテンツはXMLで記述している

 アート作品の前に来ると、テキストと音声、映像などを使用して作品のテーマや背景を紹介。動画による制作者のインタビューなども楽しめる。なお、音声ガイドとテキストは5カ国語(日・英・中・韓・仏)に対応した。

 利用料金は1000円(このうち500円は保証金のため、端末返却時に戻る)。ガレリア3階「東京ミッドタウン デザインショップ」内にある「東京ミッドタウン ツアーカウンター」で貸し出しを受け付ける。受付時間は午前11時から午後6時(最終貸し出し)。

店舗紹介やトイレの案内も……

 “ユビキタス・アートツアー”の基幹技術は、「ucode」(ユーコード)だ。ucodeは、モノや場所を識別することに特化したタグ(マーカ)の一種で、RFIDやバーコード、無線マーカなどさまざな形で利用される。ucodeの推進役である東京大学教授/YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長の坂村健氏は、「ucodeは一種のインフラ。他の用途にも適用できる所がポイントだ」と話す。

photophoto 東京大学教授/YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長の坂村健氏(左)と三井不動産執行役員 東京ミッドタウン事業部長の市川俊英氏(右)

 東京ミッドタウンでは、敷地内500カ所に赤外線もしくは特定小電力無線を利用した「ucodeマーカ」を敷設済み。専用端末「ユビキタス・コミュニケータ」がマーカの発信する電波をキャッチして利用者の現在位置を特定する仕組みだ。前述のナビゲーション機能もucodeマーカと内蔵ジャイロを利用したもので、GPSなどは使用していない。

photophoto 街灯に埋め込まれたucodeマーカ。東京ミッドタウンは、計画当初からucodeマーカの利用を前提にしていたため、敷設場所の仕上がりは自然だ

 三井不動産執行役員 東京ミッドタウン事業部長の市川俊英氏は、「東京ミッドタウンは、開発の当初から独自の高い付加価値を検討してきた。アートツアーを第1弾として、今後もYRPの技術を使ったさまざまなサービスを提供していく」と話している。なお将来のサービスとしては、「敷地内のナビゲーションやトイレなどへの案内、140のショップ/飲食店情報の提供などを検討している」という。

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