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PLC、「ユーザーの満足度は高いと思う」(1/2 ページ)

» 2007年06月13日 18時41分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 法令改正を受け、2006年末より市販製品の投入が開始されたPLC(Power Line Communications:電力線搬送通信)。松下電器産業が先陣を切り、NECアクセステクニカも7月に同社初の対応製品を発売するなど、徐々にではあるが市場が形成されつつあるように感じられる。

 幕張メッセで開幕した国内最大規模のネットワーク関連総合展示会「Interop Tokyo 2007」にて、家庭内へのPLC導入を目指す各社へ話を聞いた。

「ユーザーの満足度は高い」――40万台出荷の松下

 ブース内に大きな展示コーナーを設けてアピールしているのは松下電器産業。発売済みのBL-PA100KTをメインに、PLCの導入で家庭内LANの構築が飛躍的に簡略化されると紹介している。

photo 書斎やリビング、寝室、子供部屋を模したセットでPLCのメリットをアピール

 BL-PA100KTは昨年12月の販売開始以来、約40万台が出荷されたという。新ジャンルのネットワーク機器としては多いように思える数だが、同社からは「購入したのはまだアーリーアダプターと言われるユーザーだと思う。設定の簡単さなどをさらにアピールすれば、今後はネットワークの設定などに詳しくない初心者層も取り込めるのではないか」という意見を聞くことができた。

 販売開始から約半年が経過したことで、ユーザーからのフィードバックも集まりつつあるという。「全体的には扱いの容易さと速度安定性を評価するポジティブな意見が多いです。確かに“つながらない”“速度が出ない”といったコメントを頂くこともありますが、PCなどに比べると購入ユーザーの満足度は高いと思います」

photophoto 国内初の家庭向け高速PLCアダプタとして発売された「BL-PA100KT」(左)、参考展示の「ダイレクトプラグインタイプ」。4ポートのイーサネットポートを内蔵するコンセントじか付けタイプ(右)、

 PLCは宅内のコンセント/配線をネットワークインフラとして利用できるので、追加工事が不必要なほか、無線LANのように障害物の影響も受けない。ただ、配線のルートや距離などが通信速度の低下を招く可能性があるほか、室内の電化製品(アマチュア無線、短波ラジオ、調光機能付き照明機器など)に影響を与える可能性もある。

 また、一口にPLCといっても、同社の推進するHD-PLC以外にも「HomePlug AV」という規格が存在しており、両者に互換性はない。それに、“簡単さ”をアピールする割には、注意書きがかなりの量になっている製品パンフレットも見受けられる。

 「初心者にとってはまだ敷居の高い製品であることは確かで、“使いやすさ”“取っつきやすさ”をアピールするには十分な告知が必要になる。この点については積極的に取り組んでいきたい。規格についてはまだなんとも言えない状態。HD-PLCを業界のデファクトスタンダードにしたいと思っている」(同社)

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