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30年の時を経て黄金コンビが復活――「犬神家の一族」新作DVD情報

» 2007年06月18日 08時36分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
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(C) 2006「犬神家の一族」製作委員会

 1976年、角川映画の記念すべき第1弾として日本映画界に新風を巻き起こした横溝正史原作の傑作ミステリー、30年ぶりとなるリメイク作品「犬神家の一族」が、“通常版”(3990円)と“2006&1976完全版”(8190円)の2バージョンでDVDリリースされる。

 通常版は本編ディスクのみで、特典は劇場予告、特報、TVスポットを収録。“2006&1976完全版”は初回限定生産で、特典ディスク1には、岩井俊二監督監修によるメイキング映像「his works」、市川崑監督のドキュメント「もっぺんやって」、松嶋奈々子、奥菜恵らの「未公開シーン」、金田一通になるための「金田一耕助のあしあと」、市川監督の映像マジックに迫る「『犬神家の一族』の光と影」、等々力署長の名セリフ「よ〜し、わかった!」別バージョンなどを収録。特典ディスク2には76年版の本編を収録し、主要シーンでは06年版と比較できるマルチアングル機能付き。封入特典は76年版と06年版両方のスペシャル台本と、充実の3枚組だ。

 昭和23年の信州。財閥の創始者・犬神佐兵衛が永眠した。遺された腹違いの3人の娘、松子、竹子、梅子と、それぞれ1人ずつの息子。屋敷内には佐兵衛の恩人の孫娘・珠世も住んでいた。公開された遺言状は、3人の孫のいずれかとの結婚を条件に、珠世が莫大な財産すべてを相続するというものだった。この遺言が引き金となり、血で血を洗う凄惨な連続殺人事件が発生する。調査を依頼された名探偵・金田一耕助が、犬神家に隠された忌まわしき謎を解き明かしていく。

 76年版と同じ市川監督、石坂浩二主演という異例のプロジェクトでセルフ・リメイクされた本作。設定もセリフもカメラアングルも、そして斧(よき)、琴、菊になぞらえて殺害される犠牲者3人の死に様もほぼ同じ。30年前と最も変わったのは、監督の本作への思いが詰まったラストシーンであろうか。

 その徹底したリメイクぶりは、確かに鮮度には欠ける。が、「犬神」初体験の方は、とうに還暦を過ぎた石坂・金田一の見事な走りっぷりに驚き、豪華競演を楽しみ、市川監督の演出に酔い、横溝ミステリーに浸れるだろう。76年版ファンの方は、90歳を超えてもなお貪欲に映画を撮り続ける市川監督の姿勢に脱帽し、加藤武=署長の「よ〜し、わかった!」のセリフを聞くだけでも、何だか嬉しい気分になれると思う。

 豪華共演陣の中でも特に注目したいのが、かつて高峰三枝子とあおい輝彦が扮した事件の鍵を握るスケキヨ親子を、富司純子と尾上菊之助という実の母子が演じていること。人間の光と闇、愛と欲を、過剰なまでの“顔”の演技でみせている。個人的には次女・竹子を演じた松坂慶子の貫禄に驚かされたけど。

関連サイト:

http://www.inugamike.com/(公式サイト)

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犬神家の一族 通常版
発売日 2007年7月6日
価格 3990円
発売元 角川映画
販売元 角川エンタテインメント
スタッフ 監督・脚本:市川崑/原作:横溝正史
出演 石坂浩二、松嶋奈々子、尾上菊之助、富司純子、松坂慶子、萬田久子、奥菜恵、深田恭子
上映時間 135分
製作年度 2006年
画面サイズ ビスタサイズ・スクイーズ
ディスク仕様 片面2層
音声 (1)ドルビーデジタル/5.1ch/日本語 (2)ドルビーデジタル/2.0ch/日本語
特典 劇場予告/特報/TVスポット

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