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この夏“買って得する”一生ものヘッドフォン選びバイヤーズガイド(1/4 ページ)

» 2007年06月20日 11時27分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]

 iPodのヒットに端を発するデジタルオーディオプレーヤーの流行で、ヘッドフォン/イヤフォンが大いに注目されている。一時は売り場の片隅に追いやられ、デモ機もろくに置かれていなかったのが、いまや量販店の壁いちめんに商品がずらりと並ぶ姿も珍しくはない。しかも単に価格を競うだけでなく、高音質をアピールしている製品の多さにも驚かされる。これは「デジタルオーディオプレーヤーでもいい音で聴きたい」というユーザー心理の表れで、大いに歓迎すべきことだ。

 売り場を眺めていると、最も売れているのはインナーイヤー型と呼ばれる小型のモデル。なかでもShureなどに代表されるカナル(耳栓)型は、遮音性に優れるうえに、そのコンパクトさからは意外なほど良質な音を聴かせてくれることもあり、多くの人から好評を得ている。

photo ソニーの大型ヘッドフォン「MDR-SA5000」

 その一方で、オーバーヘッド型とよばれる大型ヘッドフォンにも人気が集まっている。こちらの特徴はなんといってもその大きさをいかした、大型スピーカーユニットの採用による自然でダイナミックなサウンド。これは小型化を追求したインナーイヤー型にはないメリットだ。その分大きすぎて通常持ち運ぶカバンなどには入らないため、通勤時などに使用するには向かない部分もあるが、音の良さに勝る魅力はない。そういった点では、今どきのユーザー嗜好にはぴったり当てはまるものがある。

 そこで今回は、このオーバーヘッド型、なかでも耳がすっぽり収まって長時間聴いても疲れないフルカバー型に焦点を絞り、購入時の選択基準やポイントをレクチャー、それらを満足させるお勧めの製品を紹介しよう。

オーバーヘッド型ヘッドフォン選び、3つのポイント

 製品選択時に重要なポイントは3つ。フィット感と主な使用環境、そして音の好みだ。

 まずフィット感に関しては、フルカバー型は耳と直接接触しないため、インナーイヤー型ほど好き嫌いは出ないはず。それでも耳のまわりを大きなパッドで囲んだり、ずれないよう頭頂部に支えがあったりと接触部分が多いため、それが不快に感じない製品を選ぶ必要がある。

 そこでイヤーパッドが耳を強く押したりヘッドサポートに違和感があるものは選択から除外。次にイヤーパッドの素材を吟味し、自分にとって自然なフィット感をもつ製品をチョイスする。低価格な製品で多用されるビニール製パッドは、汗をかきやすく、また、蒸れやすく長時間の使用には向かないので、その点もあらかじめ考慮に入れておく必要がある。これらは店頭などのデモ機で「試聴」ならぬ「試着」をして、好みのタイプを選んで欲しい。

 次に使用環境による選択だが、こちらは単純。最終的に密閉型とオープンエアー型のどちらがベストかを考えればよい。音楽に集中したい人や音漏れが気になる人は密閉型、まわりの音がある程度聞こえて欲しい人や密閉型の“蒸れ”が気になるという人はオープンエアー型がお勧めだ。

 最も重要といえるのが、音の好みだ。こればかりはデモ機を数多く聴いて、自分にとってのベストワンを探し出すしかない。とはいえ、自分好みの製品を素早く選びだす方法はいくつかある。そのひとつが、何の用途で作られた製品かをチェックすることだ。

 オーバーヘッド型は大きく分けて3つの使用目的が考えられている。一般的なオーディオ用と、スタジオなどで使うことを想定しているモニター用、そしてDJ用だ。それぞれには外見的な特徴もさることながら、音にも使用目的が反映されているので、どの方向性がより自分の好みに近いかを知れば、選択はずいぶんと楽になるはず。参考までに、一般的にそれぞれは以下のようなタイプに分類できる。

  • オーディオ用――自然な音で音楽を気持ちよく聴かせるタイプと、高低音にメリハリを効かせダイナミックな音を楽しませてくれるタイプ
  • モニター用――音楽を飾らず歪ませず、ストレートに聴かせるタイプ
  • DJ用――耐久性が高く、モニター用に近い音の方向性。ただ、解像感はモニター用に劣るタイプ。

 これはあくまでも全体的な傾向であり、「オーディオ用をうたうが、ストレートな音が持ち味」など、複数の要素を持つ製品もある。実際に試聴してみるのは重要だ。

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