人の夢の話を聞かされるのは嫌だけど、その夢を映像として観られるなら、ちょっとは知りたくなるかも。でも他人の夢に入り込むという行為はとてつもない影響を及ぼすんです。そんな筒井康隆原作のSF小説を、「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」の今敏監督が映画化。アニメという媒体でしか描けなかった、90分の“夢体験”をどうぞ。
発売日:2007年5月23日 価格:4980円 発売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 上映時間:90分(本編) 製作年度:2006年 画面サイズ:ビスタサイズ・スクイーズ 音声(1):ドルビーデジタル/5.1ch/日本語 音声(2):DTS/5.1ch/日本語 |
映画のチラシとかパンフレットにある海外誌の批評はいつも大げさだ。
「早くもアカデミー賞が動き始めた!!」
「これ以上なく興奮した!! すっかり惚れ込んでしまった!!」
「ベルリンの壁崩以来の感動が押し寄せてくる!」
そして今回紹介する「パプリカ」に対し、ニューヨーク・タイムズはこう寄せている。
「明らかに日本アニメが月面着陸を果たそうとしている中、アメリカは未だに砂場の中で右往左往している!」
なるほど。面白い表現だ。しかしガイジンによる大げさな批評にしちゃ、まだまだ言い足りてない。この「パプリカ」はこれまでのどのアニメでも観られなかった視覚的な刺激を与える。その斬新な映像の連続はまさに“体感”するという言葉が相応しく、何か新しいものを観てしまったと思わせる。
物語の軸となるのは、他人の夢を映像化して共有できるDCミニという精神医療機器で、これを操るのが美人サイコセラピストの千葉敦子だ。彼女はパプリカというこれまた美少女に変装して、患者の夢に入り込み悩みを突き止める精神カウンセリングを行っている。
正直この設定だけでドラマは描けそうだが、このDCミニが何者かに盗まれ、同僚の意識が乗っ取られるという事件が発生し、新しいドラマを生み出す。そして夢の世界から人間を支配しようとする犯人に対し、千葉(=パプリカ)はもう1つのDCミニを使って追跡を開始するという流れだ。犯人捜しというミステリーに、DCミニ vs DCミニ、現実 vs 夢、夢 vs 夢というSF的な展開で観る者の興味を引っ張っていく。
夢というのは寝ているから見るのであって、起きていては当然見られない。しかし、目が覚めたというのがまた夢だったら? 夢から目が覚めたつもりで生きていたら? そして夢から覚められなくなったら? いつしかDCミニの機能は暴走し、夢に他人の夢が混入し、そして夢の世界が現実を飲み込んでいく……。
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