アリーナの「原音」を感じさせる高音質デバイス、マクセル「vraison」を試す

「音質補間」をうたうデバイスは多いが、マクセルの 「Vraison」(ヴレソン)は圧縮によって失われた音を取り戻す、“音の再誕”を実現する。その効果はどれほどのものか、試してみよう。

» 2007年07月02日 00時00分 公開
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 店頭を見ると高音質をうたうヘッドフォンが多数販売されており、これまではマニア向けと思われた輸入品も人気を博しているようだ。それだけ「いい音」に対する需要は高まりを見せていると言うことになる。

 ただ、「よい音」がイコール「ソースを忠実に再現した音」だろうか。音の理想が生の演奏を眼前で聴くことであると仮定するならば、「原音を再生」してこその「よい音」ではないだろうか。

 マクセルの「Vraison」(ヴレソン)は「原音を再現する」ことに挑んだデバイスとして登場した。ハイエンドの「HP-U48」シリーズからオーバーヘッドタイプ型ヘッドフォンを組み合わせた「HP-U48.OH-BK」を例に、どれだけの「よい音」を奏でるのか利用してみた。

photo オーバーヘッドタイプ型の「HP-U48.OH-BK」

高音域を甦らせるvraison

 PCで音楽を楽しむ場合、通常iTunesやWindows Media Playerなどを使い、音源をMP3などに圧縮して管理している例が多いだろう。圧縮された音楽は、人間の耳には聴こえない高域の周波数がカットされ、同時にファイルサイズ縮小のために“間引き”される。これらの処理は人間の耳が知覚しにくい範囲で行われるため、普通は大きな問題にはならない。

 しかし、やはり「音」を構成する要素の一部が失われるのは確かなわけで、原音に忠実とは決して言えない。

 失われた音を取り戻し、より高音質に音を楽しもうとするため、Vraisonに実装されたのが高音質化技術だ。詳細は既に述べているのでここでは説明しないが、独自の高音質化技術「Bit-Revolutionテクノロジー」を採用し、デジタル音楽で失われた高音域を補間し、最高周波数を48kHzまで再現する。また、16ビットの信号を24ビットに拡張(スムージング)してダイナミックレンジを120dB以上に拡大している。

 これによって、ちょっと大げさに言えば、これまで聴けなかった音が聴こえるようになる。実際のところ、まったく存在しなかった音が聴こえるようになる、というところまでの変化は感じられないが、高音がより強調され、全体的な豊かさが増すという印象だ。

アリーナの感動を感じさせるリアルな「原音」

 この高音域の補間機能は、付属のソフトウェアを使うことで実現している。このソフトからは、ホール/ライブ/ワイド/ナチュラル/ユーザーの5つのサラウンドモード、フラット/ロック/クラシック/ジャズ/ユーザーの5つのイコライジングモードが用意され、さらに高音質化のオン/オフなどが設定可能。

photo 補間機能などの設定を行うソフトウェア
photophoto 縦軸のHEAVY-LIGHT、横軸のSHARP-SOFTをマウスで動かすだけで直感的な設定が行える「音感イコライジング」(左)、同じくマウスで直感的な設定が可能な「ユーザーサラウンド設定」(右)

 高音質化にはさらに、リッチとナチュラル、16kHz補間の3種類があり、リッチとナチュラルは排他利用になっている。リッチの方が補正が強く、16kHz補間はMP3のような圧縮音源で失われる16kHz付近の音を補正する。

 使用方法は、ソフトウェアの「Bit-Revolution」をオン/オフするだけ。リッチとナチュラルは好きな方を選択するといいだろう。通常は圧縮音源を聴く例が多いと思われるので、16kHz補間は常にオンにしておいて構わない。

 実際にオン/オフしたときの違いは非常に大きい。効果は明確で明瞭だ。高音域の音が“再誕”されたことで、音が一層クリアに聴き取れるようになる。ひと言で表現するならば、「リアル」という言葉がしっくりくる。ライブでも、スピーカーを通したのではなく、生音を聴いたようなちょうど音のバランスのいい場所で聴いたような、そんなリアルな音と感じた。

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 MP3をソースに利用して試した限り、たとえばジャズではMiles Davisのトランペットはうまい具合に補間されていたと思う。ドラムもハイハットが表現力が際だち、ブラシの小さなニュアンスの違いも繊細に感じられる。細かなニュアンスの再現という傾向はどのようなソースに対しても感じられるが、同じジャズでも、Duke Ellingtonあたりのビッグバンドよりも、トリオやカルテットのような少人数編成の方が比較的効果を体感しやすいようだ。

 ロックやポップスでは、ボーカルの印象が意外に変わるのに驚く。より印象がクリアになり、声が際だつというか、歌い手が一歩前に近づいてきたかのような、自分がアリーナ席へ移動したかのような感動を受ける。一枚ベールをはぎ取ったような明瞭感ともいえるだろう。

 やや本来の用途とは異なるかも知れないが、DVDなど映像ソフトの視聴時に組み合わせるのも面白い。サラウンドには対応していないのでステレオのみでの再生になってしまうが、「細かなニュアンスの再現」「一歩前に出たような音の輪郭の明瞭化」は変わらず楽しめる。見慣れた映像が新鮮に感じられることだろう。

スピーカーと組み合わせ、自由に音を楽しむ

photo 付属のUSBコントローラー

 語弊を恐れずに言うならば、この製品のキモはヘッドフォン自体ではなく、ソフトウェアと付属のUSBオーディオデバイス(コントローラー)だ。「HP-U48.OH-BK」には口径53ミリのオーバーヘッドタイプのヘッドフォンが付属するが、インナーイヤー型のヘッドフォンを組み合わせた製品も「HP-U48.IE-SL」として用意されており、好みにあわせて選択できる。

 コントローラーでは、イコライザー、サラウンド、Bit-Revolutionのオン/オフと音量が操作できる。ライン出力端子も用意されており、家庭のステレオやスピーカーにつなぐ、といった使い方も可能だ。ヘッドフォンで聴くのもいいが、スピーカーにつなげば家族全員でVraisonによる“音の再誕”を体感できる。

 ヘッドフォンだけでなくスピーカーにもつなげられることで、利用の幅が広がるのがうれしい。1人がいい音で楽しむだけでなく、みんながいい音で聴ける柔軟性の高さも魅力。ヘッドフォンも同様だが、せっかく音がより高音質に、クリアになるのだから、どうせならスピーカーなどもいいものを用意したいところだ。

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 デスクトップPCとヘッドフォンで組み合わせるのもいいが、個人的にはノートPCにつないでソファーなどにゆったりしながら聴くのもいいと思う。ワイヤレスならばさらに利便性が増したとは思ってしまうが、時にはヘッドフォンで、時にはスピーカーでと、気分にあわせてよい音を楽しめる。

 6月には、Mac用のソフトウェアもリリースされ、さらに利用環境が広がった。利用プラットフォームの拡大という面から考えても、Macへ対応してくれたのは喜ばしいことだ。補間機能や音感EQといったすべての機能はまったく変わらず、使い勝手は同等。もちろんコントローラーのリモコンをMacBookに接続しても問題なく動作する。Mac+iTunesをミュージックボックスがわりに使っている人も、愛用のMacにVraisonとスピーカーをつなげれば、まるで専用ステレオを使うような高音質で音楽を楽しめるだろう。

 ヘッドフォンとのセットで、手軽に始められる「HP-U48.OH-BK」は、誰でも手軽に高音質環境が手にはいる製品だ。

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提供:日立マクセル株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年7月17日