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れこめんどDVD「守護神」(Blu-ray Disc)DVDレビュー(2/2 ページ)

» 2007年07月13日 08時45分 公開
[飯塚克味,ITmedia]
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サウンドの臨場感は圧巻!深夜の視聴にはご注意を!

 視聴にはプレイステーション3からヤマハのAVアンプ「DSP-AX4600」をHDMIで接続し、42インチのプラズマと液晶プロジェクターによる80インチのスクリーンで行った。

 CH-1ではランドールが一組の夫婦を海から救助する場面。冒頭、海中からの見た目はあえて粒子を粗くしてあるが、その意味はラストまで見れば理解できるだろう。救助シーンでは波の高さや、水の威圧感が凄い。最近はこの手の大作の場合、シネスコサイズで製作されることが多いが、本作はビスタサイズなので、大画面再生の場合、16:9の画面いっぱいに映像が映し出され、その迫力には誰もが驚かされるはずだ。

 仕事を終え、帰宅したランドールは家を出ようとしている妻に遭遇。青味がかったクールな映像がまるで夫婦の冷え切った関係を象徴しているかのように感じられる。また色男の役ばかり演じてきたコスナーが妻に頭を下げ「出て行かないでくれ」なんて台詞を吐くところも時代の流れを感じさせる。

 CH-2では再び救助シーン。貨物船の救助にヘリで向かったランドールたちの活躍が描かれる。ここでは風、波、ヘリのプロペラ音がミックスされたサラウンドの臨場感が圧巻。特にヘリが事故で墜落し、大爆発を起こすくだりは重低音も凄まじいので深夜の視聴には注意してもらいたいところだ。この時、ランドールは判断ミスを犯し、パートナーを亡くしてしまい、現場を離れることになる。現場を離れる旨を上官であるハドレーと話し合うのだが、Blu-ray Discハドレーの勲章の数まではっきり見える。

 また背景にあるトロフィーの数々もフォーカスアウトしているのに、存在感をしっかり出しているのはBlu-ray Discならではのことだろう。この後、ランドールはA級学校に教官として出向き、訓練生の育成にあたることになる。

 CH-4の訓練の場面ではデジタルビデオで撮影された粒子の粗い映像も使用され、そのことが現場の雰囲気をよく伝えている。CH-5では低体温の訓練のため、氷を入れた冷たい水槽でのガマン大会。俳優たちの唇の色からも冷たさが感じられる。

 CH-6では溺れた遭難者を救出する訓練が行われる。教官たちがわざと手に負えない振りをするのだが、その時水中にあふれる空気の泡が一際多くなり、救出する側の苦労も実感できる画作りになっている。

 この後、海軍とのケンカや、ジェイクの恋人との関係や過去の傷、そしてランドールの現場復帰などが描かれていく。クライマックスは現場に出たランドールとジェイクがコンビを組んで、救出活動に臨むのだが、その場面の映像と音響も素晴らしいの一言に尽きる。衝撃のエンディングまで大いに見る者の心をわしづかみにして離さない「守護神」の力は是非ともBlu-ray Discで体感すべきだろう。

特典映像のHD収録もうれしい

 特典はキャスト・スタッフ全員が反対したが、観客の好印象を得るためにあえて撮影された「もうひとつのエンディング」、監督と脚本家による音声解説付きの4つの「未公開シーン」、11分の「メイキング」、実際の海難レスキュー隊の姿を追った「名も無き英雄:人命を救う仕事」となっている。

 うれしいのは「もうひとつのエンディング」と「未公開シーン」がちゃんとHD収録されている点。今後はこうした仕様が普通になっていくのだろうが、先駆け的にしっかりやった点を評価したい。

これぞハリウッドの底力

 「海猿」の劇場版第1作は訓練中の事故がクライマックスという点が、非常に納得できず不満だった。記録的なヒットとなった「LIMIT OF LOVE 海猿」も事故を描きたいのか、主人公のラブロマンスを描きたいのかがはっきりせず、実に中途半端な出来だったと思っている。そうした不満を「守護神」は見事に解消してくれた。ケビン・コスナーが譲らなかったというラストシーンの選択も実に納得できるものとなっている。

 優れた職人たちの手によってこうした映画が生まれてくるのだから、ネタ切れと言われてもまだまだハリウッドの実力は世界の頂点にあると言えよう。また、こうした作品を公開フィルムと同レベルで手元に保管できるBlu-ray Discというメディアを手にすると、この時代に生まれ本当に良かったと思えて仕方がない。劇場で未見だった人も是非Blu-ray Discでチェックしてもらいたい。

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