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東芝の“勝負機”「RD-A600」を検証する(後編)(1/4 ページ)

» 2007年07月20日 11時14分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
photo 「RD-A600」

 前編では「RD-A600」の最大の特徴と言えるHD DVDに関連した機能に触れた。今回は引き続きレコーダーとしての使い勝手を検証していこう。

 RD-A600は、レコーダーとしての機能の多くを「RD-S600」から継承しているが、「RD-XD91/71」から導入された「RDエンジンHD」を「VARDIAエンジン」に進化させ、カタログではわかりにくい部分にも多くの改善が施されている。なお、RD-S600の詳細なレビューを行っていなかったため、RD-S600から導入されている機能に関しても意図的に取り上げている点はご了承いただきたい。

2番組同時録画時の制限を緩和

 RDシリーズは、高速ダビング時の予約録画実行など、マルチタスク的な動作はもともと得意としていた。その反面、RD-XD92/72ではデジタル放送の2番組同時録画に対応したものの、2つ目のTS録画ユニットである「TS2」で録画していると(2番組同時録画中でなくても)各ナビ画面を一切呼び出せず、実質的に何もできないという機能制限を抱えていた。この点は「RD-S600」でも同様だった。

 しかしRD-A600では、この機能制限が大幅に緩和された。「TS2」単独録画中の制限がほぼ解消されたことはもちろん、2番組同時録画中でも録画済み番組やHD DVD-R/DVDメディアの再生、追っかけ再生、編集などが可能になっている。HD DVDビデオの再生は行えないが、現時点ではHD DVDビデオの視聴頻度を考えると大きなデメリットにはならないだろう。

 2番組同時録画の組み合わせも柔軟になった。デジタルW録世代のRDでは、デジタル放送をそのまま録画する「TS1」「TS2」、デジタル放送をSD品質にダウンコンバートもしくは地上アナログ放送や外部入力を録画するための「VR」(本機では「RE」と表記されるが、過去の経緯もあるためここでは「VR」と表記させてもらう)の3つの録画ユニットを持っている。RD-XD92/72の場合、2番組同時録画は「TS1+TS2」「VR+TS2」に制限されていたが、本機では「VR」録画が地上アナログ放送や外部入力の場合は「TS1+VR」も可能だ。デジタル放送の2番組同時録画に関してはRD-S600から変化はないが、予約録画の時間が重なった時、「TS1」の録画予約を「TS2」に振り替えてから「VR」で録画予約するという手間が大幅に減る。

photophoto これは「TS1」でデジタル放送を、「VR」で地上アナログ放送を2番組同時録画しつつ録画済み番組を再生しているところ。放送中に視聴できても録画する番組は後で見る、という人にはありがたい機能だ(左)。「TS1+VR」(地上デジタル放送+地上アナログ放送)で2番組同時録画中に、「TS2」を使って地上デジタル放送を視聴。この時期だと2つの番組を同時録画しつつプロ野球中継を見る、なんて使い方にも便利だ(右)

 また今回は実機検証で漏れてしまったのだが、「TS1+VR」でもとくに制限がないとすれば、CMカットに非常に便利なマジックチャプター機能も、組み合せは限定ながら2番組同時録画時に両方の録画で有効ということになる。マジックチャプターが「TS2」録画時には利用できない点は変わっていないからだ。

 さらに2番組同時録画中でも、空いているチューナーユニットを使って別の番組を視聴できる。レコーダーが常にテレビのチューナー代わりという人にはこれも便利な機能といえそうだ。

いろいろ改善されたユーザーインタフェース

 ユーザーインタフェースの多くはRD-S600から継承された。正確にいえば「VARDIA」エンジンのユーザーインタフェースは「RDエンジンHD」をほぼ継承している。表示解像度を予め想定できるテレビ製品ほど思い切った表示情報量の拡大ができないのはレコーダーの宿命だが、ハイビジョンテレビの接続も意識した、表示情報量の多いユーザーインタフェースだ。

photophoto 左はRDユーザーにはお馴染みの番組表。専門チャンネルも含めて異なる放送波のチャンネルも同時表示が可能だ。右はRD-S600から採用された「ラテ欄」タイプで、好みの応じて利用できるようになった。画面辺りの一覧は2/4/6チャンネル分、1/2/4時間分を表示を組み合わせて利用できる。リモコンの数字キーを押すだけで地デジのみ、BSデジタルのみといった一覧に簡単に切り替えることも可能
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