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ボケる? ボケない? 分かりやすい「ボケ」を楽しむ脱フルオートの道 第5回(1/2 ページ)

» 2007年08月01日 09時53分 公開
[小山安博,ITmedia]

 写真の醍醐味は、目で見たものをそのまま切り取るだけでなく、人間の目ではできない特別な表現ができる、という点にある。今回は、その中でも分かりやすく楽しめる「ボケ」について取り上げたい。

ボケを生かしたプロっぽい写真の撮り方

 ボケは、主要被写体にピントが合っていて、それ以外の前景や背景のピントがあっていない部分を指す。被写体も含めて写真全体がぼやけてしまっていたり、ピントを合わせたかった被写体がぼやけてしまった、(意図しないボケである)「ピンボケ」ではなく、自分がボケを意識して主要被写体以外をぼかす写真表現をボケという。

 「絞り」の回で、絞りを開けば開くほど(=絞り値、F値を小さくすればするほど)、ピントの合う範囲は狭くなるという話をした。ピントがあっているように見える範囲のことを「被写界深度」というが、絞りを開くと深度は狭くなり、写真の中でぼけている範囲が大きくなる。

 絞りを開くとボケ量は大きくなるが、ボケに影響するのは絞りだけではない。ポイントとなるのは「焦点距離」と「被写体までの距離」だ。

 焦点距離は、レンズの中心からフィルムや撮像素子までの距離を指し、この数値が大きくなればなるほど、遠くのものをより大きく写真に写せる。ズームレンズを搭載したカメラでは「光学10倍ズームレンズで焦点距離は28〜280ミリ」といったように表現されることがあるが、この場合は焦点距離が28ミリから280ミリの間で変更でき、最も焦点距離が短い方をワイド端(広角端)、長い方をテレ端(望遠端)と呼ぶ。この焦点距離が長いほう、テレ端で撮影した方が、被写界深度は浅くなり、ピントの合う範囲は狭くなる。

 また、被写体までの距離は、近ければ近いほど、ボケ量は大きくなる。コンパクトデジカメの場合、被写体からレンズ前までどれくらい近づけるかはカメラによって異なるが、被写体から10センチ離れるより、1センチまで近づいた方がぼける量は増える。

 つまり、「焦点距離が長く」「被写体との距離が近く」、それに「絞り値が小さい」ほど、被写界深度は浅くなるので、ボケ量が大きくなる。言い換えれば、できるだけ望遠側で被写体に接近し、明るく撮るほど意図的にボケを生み出しやすいというわけだ。同じ絞り値でもワイド端よりテレ端の方がボケが大きく、同じ焦点距離でも被写体までの距離が近い方がボケが大きい。

photo 絞り値によるボケの違い。こちらはF8。レンズの開放F値はF4だが、焦点距離が長く、距離も近いので、十分にボケている
photo こちらはF22。ここまで絞るとボケはだいぶなくなる

 ポートレート写真と呼ばれる撮影では、人物を浮かび上がらせて強調させるためにボケが積極的に活用される。たとえば恋人と出かけて写真を撮るなら、恋人を目立たせるためにボケを利用してみよう。

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