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“BRAVIAケータイ”の絵づくりと録画機能(1/2 ページ)

» 2007年08月14日 09時55分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ソニー・エリクソンの「SO903iTV」は、ソニーの液晶テレビブランド“BRAVIA”を冠したワンセグケータイだ。7月上旬に電話帳やメールなどのデータが消失するトラブルが発生し、数週間にわたって販売が中止されていたが、7月末から順次販売を再開。リリースから時間が経過していることもあり、以前より手頃な値段で販売されている。モバイルテレビとして、また個室で楽しむパーソナルテレビとして、気になっている人も多いのではないだろうか。

photophoto ソニー・エリクソンの「SO903iTV」。回転2軸に“軸ずらし”機構を追加し、ユニークなワンセグ視聴スタイルを提案する

 そんなBRAVIAケータイを改めて眺めてみると、回転2軸に“軸ずらし”機構を追加した本体をはじめ、映像エンジン「モバイルBRAVIAエンジン」など、テレビの名前を冠した××ケータイの中でも見るところの多い端末だ。「モバイル環境におけるテレビ視聴の新しいスタイルを提案する」(→インタビュー記事)というだけあり、横置きにしてワンセグを視聴するときの“スタイル”が気に入っている人も多いはず。今回はAV機器としてのアプローチを中心に、開発担当者のコメントを交えつつ検証していこう。

BRAVIAの絵

 液晶パネルは16:9の3インチQVGAで、これは先代「SO903i」と同じサイズと解像度だ。ただし、チューニングは動画表示を前提とした専用のもの。詳細なスペックは非公開ながら、たとえば色域はNTSCの90%以上をカバーしている。これは従来機種の1.5倍にあたる数字で、とくに「赤と緑(の色域)が広がっている」(ソニー・エリクソン、プロジェクトマネジャーの高橋氏)という。

 テレビの開発では、放送局などで使用するモニター用途の製品などを除いて“絵作り”という作業が必須になるが、赤と緑の再現性を意識して高めているのはソニー「BRAVIA」の特徴だ。チューニングではソニーのテレビ事業部が全面的にバックアップし、開発の現場にもBRAVIAを導入して(画面を)比べながら調整したという。

 「モバイルBRAVIAエンジン」は、従来の「RealityMax」に画質を調整するハードウェアと機能を実装したものだ。パネル特性とワンセグ動画の表示に合わせ、コントラスト補正や輪郭強調、発色といった要素を最適化するために使われている。

photo メニューの「表示画質設定」では、「Normal」「Sharp」「Dynam.」(ダイナミック)の3種類を選択可能

 メニューの「表示画質設定」では、「Normal」「Sharp」「Dynam.」(ダイナミック)の3種類を選択可能。これらの設定はいわばメーカーの“オススメ”設定であり、「ざっくりといえば、見てもらいたい映像の範囲があって、その両端と真ん中があるイメージ」。実際に画面を見た印象は、個人的には“真ん中”(Normal)設定1つだけでも十分と思う。色味に関しては、一時期のBRAVIAのように“赤を強調する意図”を感じることはなく、時折「あ、赤が鮮やか」などと気づく程度だ。現行のBRAVIAに近い印象を持った。もともとQVGA/15fpsのワンセグ放送だから、画質に関して不満がないなどと言うことはできないが、最近のワンセグ対応機器の中で“最も不満のないレベル”に仕上がっていることは確かだ。

 もう1つ。BRAVIAケータイの画質を語る上では、パネルの表面に多層膜コーティング(ARコート)を用いた点も挙げておきたい。ARコートは、プラズマなど一般的な薄型テレビにも使われているもので、画面に外光の“映り込み”を抑える効果がある。屋外で使うことも多いワンセグには重要な要素になるだろう。そのほかにも、画面に集中できるよう画面の周囲を黒くした点など、AV機器ライクな配慮も面白い。

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