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自腹で買った50本超の中から独断と偏見で選ぶ「マイ・ベスト・ボールペン」プロフェッサー JOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと!」(1/4 ページ)

» 2007年08月23日 08時30分 公開
[竹村譲,ITmedia]

 筆者は子供のころから筆記具をはじめとする「ステーショナリーの世界」が大好きだった。それは50歳を超えた今もまったく変わらない。文具屋さんのショーウインドウを眺めている時がオフの中でも最も楽しいひとときだ。一般的なビジネスピープルが使う筆記具としては、今回のテーマであるボールペンをはじめ、最近は女性にも人気の万年筆、それに日本企業が大きな活躍の場を占有しているシャープペンシルなどがある。

photo 机の上にあった約50本のボールペンからベストを選ぶ。ほどんどはここ2年ほどの間にコレクションへ加わった。クルマと大型オーディオをやめてから、風変わりな腕時計と楽しい筆記具が趣味になった

 ボールペンの世界にも「ローラーボールペン」や万年筆のインクカートリッジが使用できる製品、消せるボールペンやバリエーション豊富なラインマーカーなど、毎年新しいテクノロジーを盛り込んだものやメーカーからの提案が登場してきて飽きの来ない世界だ。今回は、旧来から広義の意味で「ボールペン」と呼んでもおかしくない「油性ボールペン」、「水性ボールペン」、「ローラーボールペン」の世界の話題をしてみたい。

 日本に「文房具評論家」という職業が存在するかどうかは知らないが、筆者はペンなどの文具の評論や企画を仕事にしている訳でも、それらを評論するスキルを十分持ち合わせている訳でもない。ただ文具が好きで、新しい製品が発売されると自分のお金でそれらを購入し、時には自分の眼の確かさに自惚れ、時には見る眼の無さに嘆いているひとりのユーザーである。今回ご紹介する商品もその全てを自分のお金で買い、メーカーから無償提供されたモノはただの1本も無いので、あくまで筆者個人の自由な判断に基づく評価であることを伝えておきたい。

 同時に読者の皆様が、今回紹介する商品評価に惑わされない様に事前に断っておくと、筆者は、普段から極端に細い小さな字でシステムノートやメモを沢山の文字で埋める習慣はない。思いついたアイデアや企画をロディアやモールスキンの方眼メモページに図や挿絵、少ない文字列をラフに書き込む為にボールペンを活用している。その為、手帳に細かくスケジュールを書くためのペンをお探しの読者には、筆者のリポートの一部はお役に立てそうにないだろう。

 さて、今回、50本超のボールペンの中からいろいろな目的で筆者が最適ではなく「ピッタリ」かなと思うモノを各賞ごとに1本から3本選んでみた。選ぶときに考慮したことは、自分の手や指先に馴染むかどうか、書き味はスムーズか、持ったときのバランスはどうか、所有する目的とメーカーの意図が合致しているか、目立ち度はどうか、投資対効果は、ほかの持ち物とのバランスはどうか、などなど。単に文字を書く道具としてボールペンを選択するのではなく、ボールペンをライフスタイルの表現物として捉え、筆者のある程度偏った主観を交えて独断で選択した。

 選択の結果だけを見れば賛否両論は多々あるだろうが、読者の皆様も自腹で購入し、ほかの製品と比較し、そして使い込んだ方にはご理解頂けるかもしれないと考えている。

 多くのボールペンの中から筆者が、自分の持っている中でベストだと感じたのは、ポルシェデザイン「WIRE P3130」だ。写真のように全身をねじれたイメージの20本近いステンレスワイヤーで覆われており、両手でつかんで全体をひねることにより芯を繰り出すメカニズムはポルシェデザインならではの秀逸なパフォーマンス・プレゼンテーションだ。全長15センチ、重さ48グラムの本体は、決して軽量とは言えないが、ポルシェと同じドイツの筆記具の名門企業であるファーバーカステルとのコラボレーションが見事に実を結んでいる。

photo ポルシェデザインとファーバーカステルの同盟によるWRITING UEPONの最高峰。奇をてらったデザインではなく論理的な正しいデザインはさすがだ。本体をねじって芯出しをする間も時々刻々と表情が変わる。決して軽くはないが、バランスは抜群だ。価格はボールペンの平均価格をはるかに超える3万円超だが、筆者は決して惜しくはないと思う

 筆者はミディアム(B:太字)のリフィルを使用しているが、書く前の本体をひねる芯出しから滑らかな筆記まで、ドイツデザインが持つ独特の質実剛健だけに留まらないプラスアルファが感じられる。「クリップ」は、デザイン的には不要だが機能的に必要だと感じるユーザーも多いとは思うだろう。しかし全体デザインから見れば「蛇足」の感が強い。P3130 のクリップは簡単に取り外せる構造になっており、機能とデザインの両立を精巧なメカニズムで両立させている。3万円を超える価格ではあるが、結果としての機能的デザインと書き心地、本体を捻る時のステンレスワイヤーの時々刻々と変わる形状、すべてが持つ喜び、自慢できる楽しさを実現してくれる「My Best Ball-point Pen賞」だ。

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