前回は、初めて薄型テレビを購入する場合、頭の中で想像しているよりも少し大きめのテレビを選んだ方がいいという話をしたが、では具体的にどのようなサイズを選べば良いのだろうか?
まずは部屋の広さ――つまり視聴距離を考慮して画面サイズを決める方法だ。一般によくいわれている数字は、SD(標準解像度)映像の場合で画面の高さの5倍、HD(高解像度、ハイビジョン)映像の場合で3倍というものだ。もちろん、これはあくまでも目安であり、見ている映像の種類によって異なるが、ここでは典型的なパターンということで、この数値での視聴距離とサイズの関係を考えてみよう。
10年前のワイド型ブラウン管テレビの主流は28〜32インチ程度だった。ここで28インチを基準にすると、画面の高さは約34センチ。つまり適正な視聴距離は1.7メートルということになる。これに対して大画面薄型テレビの中でも象徴的なサイズである50インチワイドの画面高は約60センチ。したがって適正視聴距離は1.8メートルということになる。
適正距離に関して、あまり厳密に考える必要はないが、経験的にいっても30インチ前後のテレビから買い換え、薄型・大画面らしい迫力あるハイビジョン映像を楽しみたいならば、50インチぐらいのサイズはあった方がいい。
実際に50インチクラスのテレビを自宅に入れてみると、意外に大きく感じるハズ(店頭は大画面の展示が多いため、50インチクラスでも“普通”に見えるが、日本の一般的なリビングでは、やはり絶対的なサイズは小さくない)だが、ハイビジョン映像を楽しむという観点でいえば、決して大きすぎるとは感じないはずだ。
ここで28インチと50インチという数字を具体的な例として挙げたのは、実際にリビングに設置する場合は、1.8メートル程度の距離からテレビを見ることが多いためだ。
たとえば6畳ぐらいの有効スペースがある場合、短辺方向の長さはおよそ2.7メートル(本間6畳間の場合)。壁際に着席するスペースやソファがあるとして、反対側にテレビ台を置くと、ブラウン管テレビで約1.8メートル、薄型テレビで約2メートルの視聴距離となる。
このぐらいの距離でハイビジョンを見るなら、50インチあれば迫力満点。42インチでなんとか。37インチだとやや迫力不足と“ザックリ”頭の中に入れておくといい。ただし映画を大画面でもっと楽しみたいという映画ファンは、さらに大きめを考えた方が良い。
理由は、シネマスコープサイズの映像は、有効に表示される高さがさらに小さくなることが1つ。そして映画は劇場のスクリーンで見て適正な映像となるよう、あらかじめ考えられた構図で撮影されているのがもう1つ。50インチオーバーとなると、設置空間を作るのも、テレビの搬入や設置も大変になってくるが、本当に映画好きならばさらに大画面、あるいは反対にテレビは小さめにした上で、プロジェクターによる映画視聴を行うといった2画面プランを考慮するようにしたい。
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