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撮像ボケを解消する新「モーションフロー」とは?倍速駆動にプラスα

» 2007年08月30日 07時29分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
photo 発表会場では、1つの映像でIBリダクションを適用した場面と従来の映像を交互に表示するデモンストレーションを行っていた。ぼやけた映像とクリアな映像が交互に映し出される

 ソニーが発表した新「BRAVIA」のうち、「W5000」「X5000」「X5050」「X7000」の4シリーズ10機種に搭載されたのが「撮像ぼやけを補正する」(同社)という新しい「モーションフロー」だ。フルハイビジョンが当たり前になり、倍速駆動技術も広がりつつあるタイミングで投入された、新しい付加価値といえる。

 新モーションフローは、液晶パネルの120Hz駆動と中間フレーム生成を組み合わせた従来のモーションフローに「IBリダクション」を追加した。IBリダクションの開発担当者は、「倍速駆動にしても映像のボケた印象を完全に払拭することはできない。その理由は、撮影時に現場の明るさやシャッタースピードなど、さまざまな制約でボヤけた映像が撮影されるため」と指摘する。

 解像度が低いアナログ地上波の時代なら画面サイズが小さいことも手伝い気にならなかった撮影時のボケも、大画面化と高精細化によって“アラ”が目立ち始めた。いくら高性能な倍速駆動でも、放送波にのってくる映像自体がぼけていてはクリアに表示することはできないというわけだ。

 IBリダクションでは、送られてくる映像をもとに撮影時に生じた制約を推測し、それと逆の情報(逆の“周波数”と表現していた)を用いてデジタル処理を行う。詳細は明らかにしていないが、同様のアプローチはデジタルスチルカメラの手ブレ補正技術にも見られるという。

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 「撮影時の情報をもとに画像を補正する手法が一部のデジカメにも導入されている。ただし、それは静止しているからできること。映像に適用しようとしても、逆にノイズを強調するなど課題が多く、これまで実現できなかった」。では、それを実現できた理由は何かといえば「現時点では話せない」(同社)。

 確かなのは、新モーションフローでは、中間フレームを生成する前のオリジナルフレームに対してIBリダクションをかけることで、より鮮明な映像を作り出すという点だ。2つの技術により、相乗効果を得るところが新モーションフローのポイントといえる。

 もう1つ確かなのは、もとの映像をクリアにするIBリダクションは、決して液晶テレビに限った技術ではないということ。逆にいえば、同社が製品化を表明している有機ELテレビや関連会社のFEDなどにも適用できるはず。先が楽しみな技術がまた1つ増えたようだ。

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