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ドルビー、立体映画技術「Dolby 3D Digital Cinema」を公開CEATECで体験できる

» 2007年09月27日 14時09分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
photo 専用メガネ。左右のレンズはそれぞれ50層のカラーフィルターを使用している

 ドルビー(Dolby Japan)は9月27日、新しい3Dデジタルシネマ技術「Dolby 3D Digital Cinema」を公開した。同日、東京・五反田にあるイマジカの試写室に映画関係者を集め、プレゼンテーションとデモンストレーションを行った。

 Dolby 3D Digital Cinemaは、独インフィテックの技術を応用した立体映像技術だ。立体映画には赤青メガネや偏光レンズを使用するものなどさまざまな方法があるが、今回はより進んだカラーフィルター技術を利用する。

 映画を作成する際、波長の異なる2組のRGB(光の3原色)を設定し、左目用と右目用の映像をそれぞれ制作する。映写機となるDLPプロジェクターは、光源(ランプ)とDMDの光軸を遮る形でフィルターホイールを挿入。これを1分間に4000回転させ、右目用と左目用の映像を交互にスクリーンへ投影する。

photophoto

 専用のメガネは、右のレンズは左目用の映像(RGB)を遮断し、右目用の映像だけを通過させる仕組み。混じることなく高速に入れ替わる左右の映像が視差を生み出し、同時にフリッカーの少ないクリアでシャープな立体映像を作り出す。また客席の位置によるデッドスポット(見えにくい場所)が発生しない点もメリットだ。

 システム構成はシンプル。必要なハードウェアは、DLPプロジェクターにアドオンできるフィルターホイールユニットと、映像とホイールの回転を同期させるコントローラーだけ。映画館で上映スクリーンを変更する場合でも容易に移動できるという(ただしランプは倍の光量が必要)。ドルビーによると、すでにデジタルシネマで使われるNECやバルコのプロジェクターで使用できるホイールユニット用のブラケットを用意しているという。

photophoto フィルターホイールユニットとコントローラー

 デモンストレーションでは、映画「スターウォーズ」や「Fly Me to the Moon」のシーンやU2のライブを上映した。写真では左右の映像が重なってブレが発生しているように見えるが、実際には非常にクリアな立体映像だ。あるシーンではビルの高さ(画面の奥行き)を感じ、また別のシーンではCGキャラクターなどが画面から飛び出して間近に存在するように見えた。

photophoto デモ上映中。写真では左右の映像が重なってブレが発生しているように見えるが、実際には非常にクリアな立体映像になる

 ただし難点も残されている。他方式の立体映画も同様だが、字幕入り映画の場合は極端に目が疲れるという。このため映画館で実際に上映される場合は、吹き替え版になる可能性が高い。

 「Dolby 3D Digital Cinema」システムの正式リリースは、11月に米国で封切られるパラマウントの「Beowulf」(国内ではワーナーブラザースが配給)。なお、ドルビーでは10月2日に開幕する「CEATEC JAPAN 2007」でDolby 3D Digital Cinemaのデモンストレーションを行う予定だ。一足先に体験したい人は、幕張メッセの同社ブースへどうぞ。

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