前回のお題は「超望遠」だった。ってことで今回はその反対である「超広角」。もっとも、望遠はいくらでも伸びていく先があるけれども広角には限度がある。
究極の広角は「円周魚眼」(何しろ上下左右180度分をいちどに写せる)、次は「対角魚眼」(対角線方向に180度)だが、さすがにこの辺はコンパクトデジカメでは対応機種がないし(以前はあった。今でもサードパーティ製の魚眼レンズによって可能)、一眼レフでもフルサイズ撮像素子用の円周魚眼レンズしかない。
よって、今回はもうちょっと現実的に、コンパクトデジカメでまかなえる広角レンズを使っていろいろ撮ってみよう。
広角レンズとは、言葉通り、広い範囲(角度)が写るレンズのこと。どのくらいから広角というかは微妙なところだが、コンパクトデジカメの場合「28ミリ相当より広い範囲」が写れば「広角」と称しているようだ。
超アバウトにいうと、28ミリというのは35ミリフィルムを使った場合の焦点距離で、焦点距離というのは「フィルム面とレンズの焦点(まあ、光学上のレンズの中心みたいなものということで)の距離」。それがフィルム面に近ければ近い(短ければ短い)ほど、広い範囲が写るというわけだ。コンパクトデジカメの場合、撮像素子のサイズが機種によって違うので、同じ画角でも焦点距離が変わってくる。だから話を分かりやすくするために、35ミリフィルムだったら「28ミリに相当するレンズ」という慣習となっている。
コンパクトデジカメの場合、撮像素子が小さいので、実際の焦点距離は「4ミリとか5ミリ」になる。ものすごく近い。これは光学的な数値なので、実際に撮像素子の4ミリ先にレンズがあるわけではなく、複雑な形状のレンズを複雑に組み合わせてうまく計算上の焦点がそのくらいになるよう設計してるのだ。
最近は広角系ズームを持ったコンパクトデジカメが増えてきたけれども、まだまだ主流とはいいがたい。
例えば同じ3倍ズームでも広角から始まると望遠側が弱くなる。望遠の方がメリットが分かりやすいので(なんといっても、遠くのモノがデカく撮れるんだから)、広角の良さをアピールするのは難しいのだ。
でも広角は面白いのである。単に「広い範囲が撮れるから、狭い部屋でも取りやすい」とか「記念写真を撮るときみんなが入るから便利」というだけではない面白さがある。
同じ花を望遠と広角で撮り比べてみた。後ろにある貨物列車が走っている線路、望遠だとすぐ近くに見えるのに、広角だとすごく遠く見える。近くのモノは大きく、遠くのモノは小さくてより遠くに見える遠近感の強さが広角のひとつの面白さ。背景をどう入れるかがポイントといってもいい。
遠近感を意識しつつ手近なモノを撮ってみよう。
24ミリ相当の広角コンパクトデジカメで撮ったモノ。線がまっすぐに伸びているので、畳のラインがきれいに見えるよう、手前にメインの被写体を置いてみた。
こちらも同じ28ミリ相当のコンパクトデジカメだが、縦位置にしてちょっと上から撮るだけで広角感がすごく出るのだ。
手前の皿は真上から撮ったように丸く、向こうの皿はかなり斜めから撮ったように見えるからだ。撮影する高さで広角感を出すわけである。
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