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“光沢”液晶テレビの挑戦(1/2 ページ)

» 2007年10月19日 13時00分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 三菱電機が10月21日に発売する液晶テレビ“REAL”「MZWシリーズ」は、他社製品にない大きな特徴を持っている。液晶テレビとしては初の光沢コートパネルを採用したのだ。

photo 三菱電機AV営業統括部の吉田泰弘部長と「MZWシリーズ」

 光沢液晶はPCモニターを中心に普及しているが、大型の液晶テレビに採用された例はない。見た目はキレイでも画面に外光の映り込みが生じるため、AV機器には適さないというのが一般的な意見だ。もっとも「実際には、液晶テレビが登場したときには非光沢液晶が主流で、どのメーカーもあえて出そうとしなかった」(三菱電機AV営業統括部の吉田泰弘部長)というが実情だという。

 光沢液晶に対しては、PCユーザーの間でも賛否両論がある。とくに電源オフ時や、暗い映像を映しているときに自分の姿が映り込むことを嫌う人は多いのだが、PC用モニターで実績のある三菱電機がそれを認識していないはずはない。

 「液晶テレビは、それまでのブラウン管テレビに対して“映り込まない”ことが1つのメリットだった。光沢コートは、その利点を意図的にスポイルするわけで、当然リスクもある。ビジネス的にはチャレンジといえるでしょう」

 液晶テレビメーカーとしては後発になる三菱電機は、液晶テレビの技術トレンドを積極的に取り入れてきた。たとえば春に投入した「MZシリーズ」では他社に先駆けてスリムフレームを採用。「大画面から全画面へ」というキャッチコピーとともに注目を集めたことは記憶に新しい。また同時に、10bitの広色域パネルやHDMIリンク、ソニーと規格化を推し進めたx.v.YCC(x.c.Color)をいち早く取り込むなど、アグレッシブな製品開発を進めている。

 今回のMZWシリーズでは、光沢コートの液晶パネルを「DIAMOND Panel」と打ち出し、スリムフレームなどMZシリーズの特徴も生かしつつ倍速駆動を組み合わせた。倍速駆動で他社との機能差をなくし、MZシリーズのスリムフレームのように“一歩先を行く”ために目を付けたのが光沢コートというわけだ。

photo MZWシリーズは40V型、46V型、52V型の3機種をラインアップ。春に登場した「MZ」シリーズも併売されるため、40V型と46V型のボリュームゾーンにはグレア液晶とノングレア液晶の両方があることになる。実は、これが同社のリスクヘッジ策にもなっている

 しかし、あえてリスクを冒してまで光沢コートの採用に踏み切った理由は何か。ビジネス戦略としては理解できるが、相応のメリットがなければユーザーはついてこない。この点に関して吉田氏は「液晶が持つ、本当の画質を引き出すため」と説明する。

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