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れこめんどDVD:「ダイ・ハード4.0」(Blu-ray Disc)DVDレビュー(2/2 ページ)

» 2007年11月09日 08時43分 公開
[飯塚克味,ITmedia]
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各チャプターをチェック

 CH-1は、おなじみの20世紀FOXのロゴがシャットダウンしてしまうという洒落っ気のあるオープニングとなっている。本編の色彩はレン・ワイズマンのほかの作品と同様、色を抑え、白黒に近い雰囲気を持つ暗めの映像となっている。これは編集段階で行われている色調整だが、元の映像はしっかりしているので、必要以上に暗くなっている印象はない。むしろコントラストが明確になったことで映像の切れ味がシャープになり、これまでにない「ダイ・ハード」タッチを作り出したと思える。

 FBI本部のセットは、壁がコンクリートを打ちっ放しになっていたりして、同じFOXの「24-TWENTY FOUR-」の影響がまざまざと感じられる。もちろん、そこに置かれているコンピューター画面はデスクトップのものまでクッキリと見え、DVDのようにボケることはない。

 CH-2では、ジョン・マクレーンが娘のルーシーを訪ねる場面。デートを邪魔され激怒する様子からは、どことなくジョンの雰囲気を引き継いでいるのがよく分かり、可笑しい。ルーシーはボーイフレンドとジョンを残し、ひとり部屋に戻ってしまうのだが、ボーイフレンドの「女はこれだ」の台詞ににらみをきかせるジョンの表情がBlu-ray Discだと笑ってしまうぐらい威圧感がある。その一方で部屋の明かりを確認したときの安堵した表情からは父親の優しさがにじみ出ており、ブルース・ウィリスの演技のうまさも認識できた。

音響の凄まじさはBlu-ray Discならでは

 CH-5では、FBIの要請でハッカーのマットを連行しに行ったジョンが謎の敵に急襲される。部屋のあちこちに響き渡る着弾の音が凄まじい。自分のシステムではまだコア部分のみでの再生だが、ロスレス音声の実力を早く実感したいと思わせる迫力が音響からも実感できる。

 CH-8になると場面もデイシーンに変わるが、コントラストを抑えた映像はそのままなので、画面を暗めに設定しているユーザーにとってはちょっと暗めに感じるかもしれない。だが、決して見づらい画作りではないので、すぐ慣れるはずだ。

 CH-13では、FBIに連行したマットを結局ジョンは連れ戻すハメになる。途中、敵が居所をつかむため警察無線のふりをして接触してくるのだが、いかにも古典的な手法で正体を見破るところがユニークだ。敵の「お前はデジタル時代のハト時計だ」という台詞にも思わず笑ってしまった。

 CH-14では、ヘリによるパトカーへの攻撃が始まる。CH-5では、建物内での銃撃戦だったが、屋外ではより立体感のあるサラウンドが楽しめる。映画が進行するに従ってスケールの大きな展開になっていくところは実にうまい演出だ。

実写へのこだわりが迫力を生む

 CH-15では、高速道路に追い詰められたマクレーンたちの様子が描かれる。逆走する車同士がクラッシュし、宙を舞う様子はデジタル合成の賜物だが、それぞれの部分は実写で撮影されたそうで、そのこだわりが随所に効果を発揮している。車がヘリに体当たりする名場面も、実際に行われたスタントに合成を加えたもの。もちろん、クラッシュシーンなどの音響の凄まじさは言うまでもないだろう。小さな破片が飛んでくる細かい音響までチェックでき、ホームシアターならではの楽しみを満喫できる。

 CH-21からは発電所でのマギー・Qとの対決。肉弾戦では、これが最高の見せ場となっている。戦いはどんどんエスカレートし、エレベーターシャフト内での攻防に発展するが、シリーズ第1作へのオマージュでもあり、ニヤリとするファンも多いだろう。ここでは、シャフトとの奥行きが「落ちたら確実に死ぬ」怖さを感じさせる。

 マギー・Qは「M:i:V」以上にアクションに精を出しており、今後ハリウッドでの活躍は確実に増えていくだろう。彼女が気になった人はぜひ「レディ・ウエポン」(原題「赤裸特攻」)も見た方がいいだろう。本作のキャスティングディレクターは間違いなくこの映画をチェックしていたはずだ。

 CH-26では、マットが先輩ハッカーのワーロックを訪ねる場面。神出鬼没の敵の行方を割り出すために協力を依頼するのだが、演じているケヴィン・スミスが実に飄々とした感じで、いい味を出している。もちろん、彼の部屋のセットにも手抜かりはなく、昔のゲームやらフィギュアなど小道具が至るところに置かれているので、よーくチェックすると意外な発見があるかもしれない。

「24」を凝縮したかのような濃密度

 この後、映画はいよいよクライマックスへ突入していくのだが、CH-33の戦闘機とトラックのチェイスはまるで「マッドマックス2」VS「トゥルーライズ」といった感じで、大作映画の面白さを存分に体感できるはずだ。エンディングまで一時停止ボタンすら押すのがもったいないほど、一気に駆け抜ける密度は「24-TWENTY FOUR-」を凝縮したかのような印象すらある。コンピューター社会への警鐘という現代的なテーマを前面に出してはいるが、ハリウッド娯楽映画の底力を感じさせるものだ。

この映像と音響は文句なし!大画面ユーザーは即買いを

 残念ながらBD版は特典映像の収録は見送られている。同時発売の2枚組DVDにはてんこ盛りなのだが、FOXタイトルには特典が収録されているものといないものがあり、本作は残念なことに後者となっている。しかし、この映像と音響は何ものにも変えがたく、大画面ユーザーであれば間違いなく“買い”のタイトルだ。

 また同時発売でシリーズ全作もBlu-ray Disc化が実現した。特に「3」はWOWOWでビスタサイズにトリミングしたバージョンしか放送されていないので、シネスコサイズでの発売がうれしかった。ぜひ大画面&大音響で「ダイ・ハード」ワールドを堪能してもらいたい。

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