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各社それぞれのHD対応、ホログラムディスクも実用化Inter BEE 2007

» 2007年11月21日 18時02分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 業務用放送機器の総合展示会「2007年 国際放送機器展」(Inter BEE 2007)が幕張メッセで開催されている。43回目を迎える今回は過去最多となる754社(2014コマ)が出展しており、会期中に3万5000人の動員が見込まれている。

 家庭向けのテレビやレコーダーのハイビジョン化が進む中、同様に業務用のカメラやディスプレイ、ストレージについても、各社が独自性を打ち出しながら対応を進めている。

ソニーはHD時代の大容量メディアを投入、有機ELビューファインダーも

 ソニーは「PDW-F355L/F335K/F335L」などXDCAM(MPEG HD、DVCAM、MPEG IMXの3つの圧縮フォーマットに対応した業務用カメラシステム)を中心に、撮影から編集、送信までをスムーズにハイビジョン化させるというデモを行っていた。最新機種として紹介されていたのが「PDW-700」で、2/3型 220万画素CCD「Power HAD FX」を搭載しており、青紫レーザーを利用する「プロフェッショナルディスク」の2層ディスク(50Gバイト)へフルHD映像を約95分記録できる。

photophotophoto PDW-F335L(左)、PDW-700(中)、XDCAM用のプロフェッショナルディスク。青紫レーザーを利用したリライタブルメディアで、1層23Gバイト/2層50Gバイトが用意されている(右)

 記録メディアにSxSメモリーカードを利用するXDCAM EXカムコーダー「PMW-EX1」も展示されている。小型のカムコーダーながらも1/2型フルHD 3CMOSセンサーを採用しており、16GバイトのSxSメモリーカードに約50分(コーデックはMPEG2 Long GOP)のフルHD映像が録画できる。

photophotophoto PMW-EX1の分解モック(左)、インタフェースにPCI-Expressを利用するSxSメモリーカード(中)、PCI-Expressスロットを備えた「XDCAMデッキ」も参考展示(右)

 ディスプレイ関連では、マスターモニターの新製品「BVM-L230」を展示。23型の液晶モニターで、1920×1200ピクセルの10ビットパネルとLEDバックライト、専用の出力エンジンを備えている。42型の「BVM-L420」も展示されており、来年夏の市場投入を目指すとしている。また、有機ELを用いたビューファインダーも参考展示されている。利用されている有機ELパネルのサイズはXEL-1と同じ11型だが、細部はファインダー用に調整されているという。

photophotophoto BVM-L230(左)、BVM-L420(中)、有機ELを用いたビューファインダー。速い動きもブレずに映し出す(右)

パナソニックのキーワードは「P2」「AVCHD」

 SDメモリーカード規格をプロフェッショナル向けに対応させたメモリーカード「P2」を推進するパナソニックブースのメインはP2対応のビデオカメラ。9月に販売開始されたばかりの「AJ-HPX3000G」は220万画素CCDを搭載しており、1920×1080ピクセルのフルHD録画を可能としている。

 そのほかにはAVCHDフォーマットでは初(同社)となる業務用ショルダーマウントカメラ「AG-HMC75」も展示。1/4型プログレッシブ3CCDを搭載しており、1440×1080ピクセルの映像をSDHCカードへ録画できる。

photophotophoto AJ-HPX3000G(左)、AG-HMC75(中)、P2カードは同社のほか富士フイルムからも提供される(右)

ホログラムがついに実用化

 日立マクセルブースでは、1枚でテラバイトクラスまで記録容量を拡大できる可能性を持つホログラムディスクの展示が行われている。開発と製造を同社と米InPhaseが行い、池上通信機がソリューションとして放送局や製作スタジオへ販売する形態で、2008年夏には市場へ投入される。

photophotophoto 1枚で130Gバイトの容量を持つホログラムディスク。メディアは光に弱いため利用に際しては遮光性のカートリッジが必要(左)、ドライブとメディア(中)、ディスク構造(イメージ)

 これまでの光ディスクが記録レーザーによって平面方向へ記録を行っていたのに対し、ホログラムディスクは「深さ」方向へも記録を行うことで、より高密度な記録を可能としている。日立マクセルが準備しているホログラムディスクは130ミリ径で300Gバイトの容量を持ち(ライトワンス)、転送速度も160Mbpsと高速だ(→ホログラムは“夢の次世代メディア”か?)。なお、ロードマップによれば2012年には容量1.6Tバイト/転送速度960Mbpsまで大容量・高速化される予定。

 販売価格はドライブが250〜300万円、メディアが1枚2万5000円前後の見込み。「メディアという特性を活かせる方向でアピールしたい」と池上通信機がコメントするよう、当初は映像メディアのアーカイブなどの用途で利用される見込みだ。

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