ライブビュー以外の操作感にも好印象を受けた。天面のモードダイヤルでは12の撮影モードを選択でき、グリップの前後2カ所にあるダイヤルによって、絞りやシャッター速度、露出補正などをスムーズに調整できる。ダイヤルを2つ備えるのは中級機以上では当然だが、実売10万円内のエントリー機としては限られた存在である。
また、ほとんどのボタンやレバーが右手側に集中しているため、グリップを握った手を持ち替えずに各種機能を切り替えられる点も使いやすい。ドライブモードおよびAFS/AFC/MFの切り替えは専用のレバーで、感度や測光、ホワイトバランス、AFモードは十字ボタンで設定可能。FUNCボタンによって主要機能にショートカットアクセスすることもできる。
メニュー画面のデザインと操作性については今ひとつ洗練されていない印象が残るが、設定可能な項目については標準的。ファインダーの表示が小さいことや、通常のファインダー撮影時はAF測距点が3点しかないことには、価格相応の割り切りが必要だろう。ただファインダー表示に関しては、同梱する1.2倍マグニファイヤーを接眼部に装着すれば倍率をアップできる。
起動や撮影間隔、AFスピードなどのレスポンス面には特にストレスはない。オリンパスから受け継いだ強力な自動ゴミ除去機能や、ライカレンズによる手ブレ補正の効果は十分にある。画質については、4/3型の撮像素子なのでISO800以上の高感度はややノイジーになる弱点はあるものの、発色や解像感、トーンの再現性は良好。ライカレンズの光学性能と相まって四隅までシャープな写りを実現する。
昨年発売した同社初のデジタル一眼「LUMIX DMC-L1」は、フィルムカメラの操作性やデザインを継承したマニアックなカメラだった。このL10はそこから大きく変身し、同社が得意とするコンパクトデジカメの機能や操作性をデジタル一眼に応用した。
ボディのデザインがレンズ一体型の「LUMIX FZ」シリーズに似ているため、遠目からは一眼レフ機とは思われないかもしれない。また、一眼レフ機を所有するモノとしての満足感や達成感は少々乏しいかもしれない。だがそんなことより、ライブビューの圧倒的な利便性と、その結果得られる一眼レフ機ならではの高画質は本機だけの魅力。撮れば撮るほど楽しくなり、撮影意欲をかきたてられるカメラだ。
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