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2008年、お茶の間に“立体テレビ”がやってくる?(1/2 ページ)

» 2007年12月05日 21時20分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 学生の頃、交差法や平行法のグラビア写真に目を凝らした経験はないだろうか? “立体感”は、映像にリアリティを与える重要な要素だ。それが写真や動画であっても“実物と同じ感覚で見たい”という欲求は本能的なもの。そのため、立体映画や立体ゲームといった“立体コンテンツ”は何年かおきに流行する。

 財団法人デジタルコンテンツ協会がまとめた「3Dコンテンツに関する調査研究」によると、立体コンテンツは100年以上も前からおよそ10年周期でブームを繰り返してきたという。しかし、ここ数年で状況が変わってきた。

 デジタル技術の進歩が3D映画の制作環境を整え、中でも3Dアニメなどはレンダリング時間さえ確保すれば立体映画としてリリースできる状況になっている。ディズニー映画「チキン・リトル」のように商業的にも成功するケースが増え、立体映画の制作は増えている。一方で、3D映画を上映する設備を持った映画館も北米を中心に増加中。国内に目を向けるとまだ少ないが、12月現在も「ベオウルフ/呪われし勇者」「ゾンビ3D」という2本の立体映画が上映されている。立体コンテンツは、まず映画の分野で定着しつつあるといっていい。

 もう1つの重要なトピックが、12月1日に本放送を開始した新しいBSデジタル局「BS11」の試みだ。BS11では、短時間ながら毎日の番組編成に「3D立体革命」という番組を加えた。サイド・バイ・サイド方式と呼ばれる方法で右目用と左目用の映像を同時に放送し、専用テレビやメガネを用いると立体視できる。

 残念ながら、まだ3D立体革命を立体視できるテレビは存在せず、横方向を圧縮された画面が2つ並んで見えるだけ。番組はあるが見る機械はない状況だ。にも関わらず放送を開始した理由は、「多くの人に3D放送に興味をいだいていただき、それによって、メーカーなどの3D立体テレビ開発・市販化の動きが進み、3D放送が普及する一助になればという考え」(BS11)。卵と鶏の関係に例えられる新ジャンルにおいて、いち早く“卵”を提供した同社に拍手だ。

photophoto 10月の「CEATEC JAPAN」で展示された3D映像のデモンストレーション(左)と専用メガネ(右)

 では、3Dテレビはいつ登場するのだろうか。BS11によると、「2008年に市販すべく準備・検討しているメーカーがあると聞いている」。追加質問したところ、そのメーカーとは韓国の現代(ヒュンダイ)で、製品が登場するのは早くても2008年2月末以降になるという。

 立体テレビの仕様をもう少し探ってみよう。

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