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「公開質問状」JEITAは誠実な対応を――権利者団体がコメント

» 2007年12月17日 17時30分 公開
[ITmedia]

 音楽や映像、実演に関する権利者団体で組織される「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」ならびに日本芸能実演家団体協議会加盟の87団体は12月17日、11月9日にJEITA(電子技術産業協会)へ送付した質問状について会見を行い、期日までに回答は得られず、誠実な対応を望むとのコメントを発表した。(→7つの疑問――権利者団体、JEITAへ公開質問状

 権利者団体側からJEITAへ送られた質問は、主に同協会が10月に発表した意見書(→「録音録画補償金、抜本的な見直しを」とJEITA)に対するもので、「私的録音録画制度の否定はコピーワンス緩和に関する合意を破棄するものではないのか」「なぜ、中間答申案策定の時点で私的録音録画制度の廃止を主張しなかったのか」などの7項目。回答期限を12月7日と定め、11月9日に投かんされた。

photo 町田勝彦 JEIA会長よりの書簡を手にする実演家著作隣接権センターの椎名和夫氏

 期限を過ぎても同協会から公式な回答はなかったものの、12月12日付で同協会の町田勝彦会長より、「11月28日の私的録音録画小委員会で話をするつもりだったが、発言の機会を逃してしまった。次回である12月18日の同委員会で発言する機会を頂戴したく思う」との書簡が権利者団体側へ寄せられた。

 もちろん、同委員会はJEITAと権利者団体だけが議論を交わす場所ではなく、また、質問事項も多岐に渡るため、1回のJEITA側からの回答で権利者団体側が納得するとは考えにくい。この点について実演家著作隣接権センターの椎名和夫氏も「18日の小委員会ですべての決着がつくとは思っていない。(来夏ともいわれるダビング10の)デッドラインを見据えて話をしていきたい」とJEITAへ対話のテーブルに着くように要請するにとどめた。

 ただ、権利者団体側はJEITAの姿勢を「私的複製に利用される機器を販売して大きな収入をあげながら、権利者への対価の負担責任を回避するためだけに言を左右しているとしか考えられず、JEITAの持つ社会的責任に照らしても誠に残念」「一貫性のない発言によってコピーワンス緩和の実現を危うくするという社会的な影響を生じさせている」と非難し、重ねて誠意ある対応を求めるとした。

 一般消費者にとって大きな関心事である「ダビング10」だが、権利者団体側はあくまでも補償金制度の存続がコピーワンスからダビング10への移行条件というスタンスを変えていない。しかし、機器メーカーはダビング10の対応をうたう機種の販売を開始しており、ダビング10への移行を既定路線としてとらえている。

 仮に今後の議論の結果、補償金制度が廃止された場合、「ダビング10」そもものが白紙に戻る可能性はあるだろうか。椎名氏は「個人的にはダイビング10というかたちを壊すべきではない」との見解を示す。

 「もちろん補償金制度の動向が重要だが、話をご破算にするべきとは思わない。しかるべき時期が来る前に、関係者が努力をして事態を収拾させたいと思う。ダイビング10というかたちを壊すべきではないと考えている」(椎名氏)

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