ITmedia NEWS >

れこめんどDVD:「トランスフォーマー」(HD DVD)DVDレビュー(1/3 ページ)

» 2007年12月28日 11時51分 公開
[飯塚克味,ITmedia]

「トランスフォーマー」が大ヒットしたワケ

「トランスフォーマー(HD DVD)」

発売日:2007年12月19日
価格:4935円
発売元:パラマウント ジャパン
上映時間:143分(本編)
製作年度:2007年
画面サイズ:シネマスコープサイズ・スクイーズ/2枚組
音声(1):ドルビーデジタルプラス/5.1chサラウンド/英語
音声(2):ドルビーデジタルプラス/5.1chサラウンド/日本語

 1980年代に誕生し、日米合作というかたちでおもちゃとアニメを大ヒットさせた「トランスフォーマー」がついに実写で映像化! 少年の心を持つすべての人々のアドレナリンを沸騰させ、世界中で再び「トランスフォーマー」ブームを巻き起こした劇場公開作がHD DVDで登場した。映画界の2大巨人、スティーブン・スピルバーグとマイケル・ベイがタッグを組んで完成させた超弩級のVFXアクションムービーは劇場同様の感動を与えてくれるのか? 本作を見るためにHD DVDプレーヤーを導入したファンも多いはず。みんなの期待を一心に集めるソフトを早速検証してみた。

 シリーズものが乱立するサマーシーズンの映画界において、唯一オリジナル作として話題を集めた超大作「トランスフォーマー」。製作総指揮スピルバーグ、監督マイケル・ベイの夢の組み合わせだが、実は2人は世間的に失敗作とされている「アイランド」でも組んでいる。

 「アイランド」は世界的に興行成績も伸び悩み不発に終わったが、それでもベイの才能を信じるスピルバーグは監督を依頼した。依頼が来て一番驚いたのはマイケル・ベイ本人だったが、期待以上の働きをし、本作で見事な名誉挽回をしたのだ。

 「トランスフォーマー」は80年代中頃から90年代にかけて世界中で人気を博したアニメ作品。もとはおもちゃのシリーズとして展開されていたもので、身近なアイテムがロボットに変身するところが子供たちのハートをわしづかみにした。これに目を付けたアメリカの会社が権利を取得し、アメリカで商品を発売すると同時にアニメ製作にも着手した。日本でも現在30代の人なら一度はハマった経験があるのではないだろうか? 名前は知らずとも変身するおもちゃはきっとどこかで見かけているはずだ。

 スピルバーグも自分の子供が夢中になっていたことから映画の製作を熱望していた。一方のマイケル・ベイは「トランスフォーマー」について「たかが子供向けのアニメだろう」程度の知識しか持ち合わせていなかったようだが、監督の依頼が来てから詳細なリサーチを行い、すっかりツボにはまってしまったとメイキングで語っている。現在は「トランスフォーマー」ファンのため、自身のブログで続編の製作過程も公開しているようだ。

 また日本で巨大ロボットものといえば「鉄人28号」や「マジンガーZ」「ゲッターロボ」などがコミックやアニメでは古くから存在し、特撮でも「ジャイアントロボ」をはじめ「大鉄人17」「レッドバロン」など我が国内でも輝く歴史を持っているのは知っている人も多いだろう。

 それでも大人の鑑賞に耐えうる劇場映画となると、思いつく作品がないことはこのジャンルがいかに難しいものかを思い知らせてくれるはずだ。実写版「鉄人28号」はかくも無残な仕上がりだったし、海外でも「ロボジョックス」など、巨大ロボット映画に挑んで見事に撃沈した例は枚挙にいとまなしといったところだ。

 そんな中、「トランスフォーマー」が成功した要因は軍隊や政府のリアルな描き方も挙げられるだろうが、何と言っても本当にいるとしか思えないロボットたちの姿をVFXで完璧に再現したことだろう。予告編などではなかなかロボットたちが姿を見せないので「もしかして見せられないほどヒドいのでは?」と何度も自問自答したが、完成した映画のクオリティは予想を大きく上回るものだった。本作を劇場に行った人は誰もが「次は『マジンガーZ』を」とか、「いやいや次は『機動戦士ガンダム』を」と思ったはずだ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.