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2008年に期待される新技術本田雅一のTV Style(2/2 ページ)

» 2007年12月28日 15時05分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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もっとドラスティックな変化は?

 いやいや、もっとドラスティックな進化はないのか?と、思っている読者もいるかもしれない。SEDはその後、どうなるんだろうか?とか、有機ELの大型化は進むのか? といったことに興味を持つ読者も少なくないだろう。

photo 2006年のCEATECなどで展示された55インチSED

 SEDに関しては特許関連の問題解決がなければ先が見えないが、さすがにこの段階になって厳しくなっていることは間違いない(→関連記事)。方式としての優位性が消えるわけではないため、どこかで実用化される可能性はゼロではないが、そのためにはSEDの開発を行う絵で重要な鍵となるガラスメーカーなど部材を提供するパートナーとの関係維持も重要だ。

 長い間、事業の伸展がストップしてしまうとパートナー企業も待ってはいられない。それでも再始動できるだけのパワーを、キヤノンが絞り出せるかどうかが、特許問題が解決した後の課題になる。

photo ソニーが12月1日に発売した「XEL-1」

 有機ELに関しては、多くの人が期待するように大型化へと進むだろう。

 ただし、それは37インチ、42インチといったサイズではない。今年の1月にソニーが展示した27インチに関しても、実際には相当難しいと考えられる。というのも、関係者への取材をしていると、有機ELの大型化で壁になっているのは“歩留まり”ではないからだ。

 有機ELは大型化するとインピーダンスが大幅に上がってしまい、ドライブするために必要な電力が大きくなりすぎるのだという。ドライバ回路を作るのも大変だが、電源部の手当も大変。また消費電力も液晶テレビより不利になるとか。

 ソニーの有機ELテレビが、驚くような立体感のある映像を見せていることを考えれば、これが大型化すれば……という期待は誰でも持つのだが、当面の目標は20インチ程度ではないだろうか。

 もちろん、期待を裏切って「大型化は無理だと言ってたじゃないか!」と怒られるような製品が出てくる可能性はゼロではない。技術的なブレークスルーは、ある日突然、われわれの目の前に現れるものだからだ。

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