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新たなフェーズに突入したBlu-ray Disc市場 〜関係各社の反応は?〜2008 International CES:本田雅一のリアルタイム・アナリシス(1/2 ページ)

» 2008年01月08日 01時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 今回のCESプレスデーにおける注目点の1つに、東芝のHD DVDに関連する発表がどのようなものになるか? ということがあった。ご存知のようにCES直前にワーナーのHD DVD撤退&BD一本化が発表され、「フォーマット戦争の終焉」に向けての動きが強まったためだ(関連記事:フォーマット戦争の「終わりの始まり」?――ワーナーがBlu-ray Discに一本化)。

 CES前の観測では、マイクロソフトがゲームコンソールのXbox 360にHD DVDを組み込むのではないか? と言われていたが、結果的には何の発表も行われなかった。間もなく真偽のほどが判明するが、昨年末に北米におけるプレーヤーシェア拡大を加速させ、勢いに乗ったところを見せるハズが、ワーナーの発表に出鼻を挫かれたカタチだ。

 東芝アメリカの発表会では「HD DVDは各地域で市場を広げており、このタイミングでワーナーがHD DVDから撤退するのは残念」とし、HD DVDの優位性は変わっていないと、あくまでも徹底してHD DVDに拘っていくという姿勢を示した(関連記事:東芝、299.99ドルの“第3世代”HD DVDプレーヤー)。

 ただ、この発表会で示された、HD DVDプレーヤーの高シェアは極端な低価格に支えられたものだ。たとえばブラックフライデーに合わせ、東芝はHD DVDプレーヤーの旧型機を大量に販売したが、このときの価格(99ドル)は、通常時のアップコンバート機能付きDVDプレーヤー(有力メーカー製)の平均的な価格(110ドル程度)をも下回っていた。

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 ここまで低価格になってしまうと、消費者は逆に「何か理由があって安売りしているのではないか?」と勘繰り始める。加えて、HDビデオパッケージ狙いではなく、高機能DVDプレーヤーとして購入するバイヤーが多かったとの見方もできる。

 ソフトウェアの売上シェアの推移を見ると、いくつかの目玉タイトルでHD DVDが浮上することはあったが、プレーヤーの売り上げほどにはHD DVDソフトの売上は伸びなかった。

 さてワーナーのBD参入という話は、昨年からBD規格に賛同するメーカーの間でも話題にはなっていたが、タイミングを含めた確定情報までは伝わっていなかったという。当然、BD側のメーカー各社はワーナーの発表を歓迎しているが、それはBDでソフトを供給している映画スタジオにとっても同じだ。

 ライオンズゲートの社長兼共同COOのスティーブ・ビークス氏は「コンシューマにとっての勝利だ。統一フォーマットに大きく近付いた。消費者はSDビデオのパッケージを購入する際、どのフォーマットで購入するかで悩むことはない。HDビデオに関しても、同様にフォーマットを意識しなくても良い状況になった」と話す。

 ただし、これでフォーマット戦争が終わったと思うか?との問いには「終焉とまでは言わないが、BDを支持する企業が次のステップに進む条件は揃ったとは思う」と答え、フォーマット戦争の終結は「さほど長い時間はかからないだろう」と予測した。

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