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iPodをホームオーディオの主役にするLars&IvanのハイブリットアンププロフェッサーJOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと!」(4/4 ページ)

» 2008年01月29日 08時30分 公開
[竹村譲,ITmedia]
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photo 設置場所を筆者の作業机に変えて、音響特性をBoseのAWMSIIと比較してみた

 女性ボーカルでもその積極的な音響特性は変わらない。サリナ・ジョーンズの「Teach me tonight」では、イントロのビブラフォンとジャジーなギターの掛け合いからボーカルが入り、それに絡むバスドラムの音がオーディオ的に分離が良過ぎることなく、極めて暖かくナチュラルな雰囲気を出している。

 ボーカル以外では、筆者がよく聴くジプシークィーンのアコースティックギターも極めて相性が良いと感じた。また昨今、急激に人気の出てきている前衛的なフラメンコのロドリゴとガブリエラのライブも、小振りなスピーカーであることを忘れてしまう素晴らしく迫力ある再生音で聴かせてくれる。ギターの弦をはじく指先が弦を通り越して胴体に当たり、響くギターの胴音は、ヘッドフォンで聴く音とは異なる迫力がある。

 スティーリー・ダンやEvery Little Thingなどのスタジオ録音版はより音の粒立ちが加速し、前面に出てくるが、小口径のスピーカーにありがちなウルサさはない。パワー感のある東京ブラススタイルの鉄腕アトムやエイトマンも、やはり前に出てくる積極的な音が音楽の楽しさやパワーを確実に感じさせてくれる。一方、セミクラシックのジャンルかも知れない川井郁子のオーロラやジュピターは、バイオリンの艶のある透明感が抜群だ。

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 残念ながら、オールラウンドプレーヤーのこの再生システムでもiPod touchとShure E500で聴くアイアンメイデン「Different World」の圧倒的パワー感には勝てなかった。しかし、PA40TiとCUBE-Sの組み合わせは、同じロックの世界でも、イーグルスの最新アルバムに収録されている「How Long」は圧倒的にノリの良いカリフォルニアサウンドで聴かせてくれる。

 Lars&Ivanのシステムで実現するiPodコアの再生音楽の世界は、すべてのジャンルで満点ではないが、筆者が聴くほとんどのジャンルの音楽ソースを積極的に前に押し出し、楽しく再生してくれる。あえて不得手なジャンルをあげるとすれば、筆者も時々聴くことのあるヘビーメタル系かもしれない。これとて、筆者がヘビーメタル系の音楽再生に求めるモノが一般とは違っている可能性もあるので一概には言えない。

 Lars&Ivan。今はまったく無名だが、多くのメーカーに長く真空管アンプをOEMしているメーカーのようだ。既に愛用している従来のオーディオ装置をお持ちのシニアなユーザーには、iPodを新しいオーディオソースのひとつとして加えるためのサブシステムとしての導入が良いかもしれない。また、iPodでDAPの世界にハマった新しいユーザーなら、PA40Tiとスピーカーの組み合わせで、リーズナブルなデスクトップオーディオの入門をすることも素晴らしいスタートだ。価格的には、単なるメインアンプ付きのスピーカーを購入するよりハードルは高いが、投資価格に見合うメリットは十分過ぎるだろう。

製品名 Lars&Ivan PA40Ti

販売  「monoDO」

価格  4万5000円前後、2万円前後(BoBO)、3万5000円前後(CUBE-S)


竹村譲氏は、日本アイ・ビー・エム在籍中は、DOS/V生みの親として知られるほか、超大型汎用コンピュータからThinkPadに至る商品企画や販売戦略を担当。今は亡き「秋葉原・カレーの東洋」のホットスポット化など数々の珍企画でも話題を呼んだ。自らモバイルワーキングを実践する“ロードウォーリア”であり、「ゼロ・ハリ」のペンネームで、数多くの著作がある。2004年、日本IBMを早期退職し、国立大学の芸術系学部の教授となる。2005年3月、より幅広い活動を目指し、教授職を辞任。現在、国立 富山大学芸術文化学部 非常勤講師。専門は「ブランド・マネジメント」や「デザイン・コミュニケーション」。また同時に、IT企業の広報、マーケティング顧問などを務める。

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