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BD勝利の勢いに乗れるか?――日立の2代目BDカム「DZ-BD9H」レビュー(1/4 ページ)

» 2008年02月22日 08時30分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 HD解像度の映像を記録するメディアには何が最適か。家庭用レコーダーの分野では、その候補としてHD DVDとBlu-ray Disc(BD)がしのぎを削っていた。一時的なプールであればHDDが適しているが、保存用リムーバブルメディアの主要な選択肢は、まさしくいま話題となっているとおり、とりあえずBDに一本化されたわけだ(“保存用”とはいえ、BDという入れ物に入ったが最後、コピーワンス/ダビング10のコンテンツはそこから動かせず、メディアが破損したら終わりなのだが……)。

photo 記録メディアにBlu-ray Discを採用した日立製作所の“ブルーレイカム Wooo”「DZ-BD9H」。新型COMS採用、HDD容量の増強といった性能向上が図られているが、サイズ・質量は従来機種の「DZ-BD7H」と変わりはない

 では、ビデオカメラの記録メディアはどうだろう。ご存じのとおり、テレビ番組の録画とは異なり、自分で撮影した映像にはコピーワンスやらダビング10などというややこしい制限は介在しないため、少し状況は変わってくる。“とりあえずPCにデータを転送”という手段がとれるため、最終目的地としてのリムーバブルメディアにこだわる必要はなく、当座はHDDでもメモリでも何でもかまわないわけだ。

 さらに、この分野では“BD対HD DVD”という図式が成立するに至らなかった。だからといってBDが勝利を収めているわけでもない。BDを採用したビデオカメラを発売しているのは日立製作所のみで、AVCHD規格のビデオカメラなどと比べれば、シェアもまだまだのレベルだ。ただ、ユーザーが納得しうる品質の製品や多彩なバリエーションが今後揃ってくれば、ビデオカメラ分野でもBDが主役となる可能性は高いのだろう。

 そんな状況の中、日立製作所から2代目“ブルーレイカムWooo”として「DZ-BD9H」が発売された。初代の「DZ-BD7H」と比較すると、撮像素子は1/2.8型原色フィルターCMOS(約530万画素)のままだが、従来よりも感度向上を図った新型へと変更。さらに、画像処理回路「Picture Master Full HD」の最適化により、水平解像度に関しても1割程度向上しているという。

 また、従来からBDに内蔵HDDを加えたハイブリッド構成だったが、その容量を30Gバイトから60Gバイトへと増強。外見の違いとしては、カラーがシルバーからブラックに変わったものの、サイズや質量は同じだ。80(幅)×87(高さ)×165(奥行き)ミリ・705グラムと(ともに付属バッテリ装着時)、前回までに紹介してきたコンパクトタイプのビデオカメラと比べると、やはり大きく重く感じる。スペック値で見ると、DVD内蔵タイプのソニー「HDR-UX20」(58×93×150ミリ、560グラム)とさほど変わらないようにも思えるが、実際に手にするとかなり差がある印象を受ける。

photophoto 液晶画面は2.7型ワイドカラーTFT液晶(約21万画素)。メニューなどの操作には画面の横にあるジョイスティックを利用する(左)、付属バッテリでの実撮影時間は、HDD記録の場合で45分、BD記録で40分となる(いずれも液晶モニタ使用時)。バッテリ装着部の左には「秒撮」(スタンバイモードに入り、1秒で復帰可能)、「ディスクナビゲーション」、「ダビング」(ダビングメニューの呼び出し)ボタンが配置されている(右)
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