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コラム
2008年03月03日 12時00分 更新

小寺信良:

正直、テレビはもうダメかもしれん (1/3)

放送をDVDやネットでも利用する、「テレビの二次利用」が話題となるようになって随分となるが、実際にはさほど進んでいない。そもそも、今のテレビに二次利用の価値があるコンテンツはあるのだろうか。
小寺信良

 日本の映像産業は、テレビへの依存度、正確には地上波放送への依存度が高い。総務省の調査によれば、国内で制作される映像コンテンツのうち、時間にして約92%が放送によって消費されている。

 ところがこのうち、DVDやネットなどで二次利用されるのは、わずか8%にしか過ぎない。多くの番組が、一次流通である放送で終わってしまっているわけである。ここまで二次利用が進まないのは、権利処理が複雑だから、という意見がある。

 主にこの意見を主張しているのは、放送局だ。著作権は局が持っているにしても、出演者など実演家の権利、音楽使用料など、さまざまな処理が必要になる。処理とは言うが、要するに誰にいくら払うかという話である。

 音楽使用料に関しては比較的話が早い。JASRACがネットでの二次利用の音楽使用料ガイドラインを提示しているからだ。何かの批判の多いJASRACだが、どんぶり勘定でもとりあえず金さえ払えば文句を言わないというスタイルは、現実的ではある。

 タレントや音楽は、それなりの組織があって契約が存在するので、二次利用に関してはまだ話の進めようがある。しかしその一方で報われないのが、本当の番組制作者である。「本当の」とはどういうことか。

テレビ番組は誰が作っているか

 テレビ番組のエンディングには、必ずスタッフロールが流れ、最後に「制作・著作」として、著作権者の表示が出てくる。テレビ番組全体の半分ぐらいは、この部分がテレビ局と制作会社の連名になっているはずだ。テレビ局の単独であったり、一部には制作会社の単独表示であるものも存在する。

 ここで、テレビ番組は誰が作っているのか、という点をもう一度明確にしておいていいだろう。民放の場合、番組制作をしているのは、ほぼ100%に近い数字で、外注先の制作会社である。技術スタッフもしかりで、ロケなどの撮影クルーは撮影会社、収録スタジオ技術は技術派遣会社、編集スタジオは外部のポストプロダクションだ。

 例えば番組スタッフから名刺をもらったりすることがあるかもしれないが、大抵は番組名が書いてあり、連絡先がテレビ局内になっている。しかしそれは、テレビ番組の名刺を持っていると取材しやすいからというのが実情で、その名刺の本人は局の社員ではないケースが多い。

 報道に関しても事情は同じで、現場でテレビ局の腕章をしているカメラマンであっても、実は技術派遣会社や撮影会社からの派遣がほとんどである。大きな事件になると、取材クルーの中に現場責任者として局の記者などが入っている場合もあるが、外回りの取材スタッフは、基本的に外注の制作会社からの派遣であると思っていい。

 番組の内製率という点で話がややこしくなるのは、NHKがあるからである。NHKの場合、番組の自力制作率が民放に比べると、異様に高い。ディレクターはもちろん、カメラマン、スタジオ技術などは、ほとんど正規の局員である。それが故に、番組のスタイルがいつまでも垢抜けないという事実はあるのだが、そこは目をつぶっておこう。

 ただ近年は、BSデジタルをきっかけに放送チャンネル数が増えたので、報道系のカメラマンや音声、照明などは、関連子会社からの派遣が増えてきている。またディレクターも、BSの場合は外部の制作会社からの派遣が増えている。制作技術系の編集、音声効果などは、もともと外郭団体からの派遣が多いが、それは才能が必要な専門職であるが故に仕方のないことで、これはNHKに限らず、どこの局でも同じである。

 番組内製率という数字は、制作現場の場所や人的要素が含まれるため、具体的に何をどう基準にすればいいのか難しい。どこの局からもなかなか出てこないのは実情だが、あくまでも筆者が現場で経験したざっくりとした感覚で言うならば、NHKは約7割が内製だと言っていい。しかし民放の内製率は、おそらく2割を切るだろう。

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