2002年、パキスタンでウォール・ストリート・ジャーナル紙の記者がテロリストに誘拐・監禁された。誘拐された記者の妻マリアンヌによる手記を原作とし、今ハリウッドで最も注目を集めるカップル、アンジェリーナ・ジョリーが主演し、ブラッド・ピットが製作を務めた「マイティ・ハート/愛と絆」が、スペシャル・コレクターズ・エディションとして4月4日にDVDリリースされる。
特典はメイキング映像、クリスティアーヌ・アマンプールによる「ダニエル・パール協会」広告、ジャーナリスト保護委員会などを収録。
夫ダニエル・パール(ダン・ファターマン)はウォール・ストリート・ジャーナリストの特派員、妻マリアンヌ(ジョリー)はフランスのラジオ局記者という、ともにジャーナリスト。9.11以降、2人はアジアをまわり、カラチにたどり着いたのは2002年1月。この時、マリアンヌは妊娠5か月。帰国を目前にダニエルは最後の取材に出かけるが、予定の時間には戻って来なかった。
ダニエルの足取りを探ろうと、アメリカ領事館から外交保安問題担当者やCID(テロ対策組織)、夫の同僚記者、FBIなどがマリアンヌの家に集まり、捜査本部を置く。ところが、事件は長引き、ダニエルがCIAやモサドのスパイだったという噂が流れる中、最悪の事態が起きてしまう……。
渋滞。道路から溢れんばかりの人、人、人。思い通りに事件の捜査が進まない焦燥と不安を微妙に揺れるカメラが強調する。夫がいつ殺されるか分からない不安。解放されるかもしれないという、かすかな希望。見ているこちらも、妻マリアンヌの気持ちになっていく。
最近は手持ちカメラと畳み掛けるような編集で緊張感をあおる映像が流行だが、本作に関しては、カメラは微妙に揺れるという程度で大人しめ。とはいえ、30日間の及ぶ捜査の様子は緊張感に満ちている。監督は「ウェルカム・トゥ・サラエボ」「イン・ディス・ワールド」などで知られるイギリスのマイケル・ウィンターボトム。ドキュメンタリー風のリアルな語り口で事件を追う、ウィンターボトム流の演出は相変わらずうまい。
マリアンヌは、テロが生まれ原因は惨めな貧しい生活にあると語り、悲しみも恐怖も表に出さず、ジャーナリストとして、厳然とそして凛とした強さを見せる。テロリストに寛容な心を見せ、出演したテレビ番組から夫に一言、「愛しているわ」と呟く。その態度こそがテロリストに屈さないというマリアンヌの強い心の表れ。彼女とは以前から知り合いだったというアンジェリーナ・ジョリーはハマリ役で、こういった強さを見事に体現している。
ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが信頼のおける監督を起用し、ハリウッドのエンターテイメント嗜好に流されることなく、作品の質を重視した力作である。
関連サイト:http://www.mh-movie.jp/top.html(公式サイト)
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