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こだわりのないVAIOユーザーが、MacBook AirとEee PCを買ってしまった!(後編)プロフェッサーJOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと!」(3/3 ページ)

» 2008年03月11日 09時41分 公開
[竹村譲,ITmedia]
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 900グラムをほんの少し超えた程度の本体重量は、小振りな本体の割には意外とずっしり感があるが、作りも堅牢だ。手前から奥のバッテリーに向かってだんだん分厚くなるトラディショナルな設計は多くのサブノートPCに見られる特徴だが、バッテリー側を手のひらで抱えるように持つことが、重量バランスを味方につけ、うっかり落とすという危険性を回避できる携帯方法だ。

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 800×480ピクセルの7インチワイドVGAの液晶画面は、本格的にWindows XPを活用するにはやや厳しい。しかし、パフォーマンス的にはHSDPAを介したインターネットアクセスも快適だ。Webサーフィンを主な使い道とするより、Eメールクライアントとして活用した方が快適だろう。バランスの取れた使い方を考えるのなら、Windows XPではなくLinuxを導入するべき製品なのかもしれない。

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 そんなことより一番驚いたのは、筆者の購入したホワイトのEee PCには、同じく白いACアダプタが付属し、ブラックのEee PCには黒いACアダプタが付属していたことを知ったときだった。ほぼすべて日本のPCメーカー製品では、モバイルPC本体が黒でも、白でも、銀でも、ピンクでも、ユーザーが望んでも望まなくても、その付属するACアダプタは考えることもなく問答無用に黒一色と決まっている。もはや感性の観点でも国内メーカーは中国・台湾メーカーに完全に遅れをとった雰囲気だ。

 話題のEee PCだが、筆者は近所や都内限定の持ち歩きパソコンとして活用している。使うのはGmailなどWebメールやちょっとしたメモ、プレゼンテーションのプレイバックだ。気が向けば都内のカフェや喫茶店で原稿を書いたりすることもあるので、容量不足対策のため、上海問屋のウルトラ低価格のSDHCメモリーカード(16Gバイト)をセットしている。

 16GバイトのSDHCメモリーカードは筆者が購入した時点で1万円を切っていたので、これからもどんどん安くなってゆくだろう。カードにはATOKをはじめ、キングソフトオフィスや筆者の原稿書きには必須の一太郎LiteやPaintShop Pro、WinFDなど、普段利用するほとんどのアプリケーションを導入している。原稿などのデータは、インターネット上のWebディスクとSDHCメモリーカードの双方に同時保存し、どちらかといえばシンクライアント的な使い方としている。

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 Eee PCは本体に3個のUSBポートと、RGBポート、イーサネットポート、SDカードスロットのほかにも無線LANを標準装備し、オーディオ入出力端子までも装備する小振りなモバイルPC。約2倍のフットプリントがあるMacBook AirがUSBポートが1個だけなのと比較すると両者の違いが一目瞭然だ。

 グローバルで巨大なボリュームで生産される汎用的なマザーボードをベースにした超低価格のEee PCと、次世代まで継承すべき先進テクノロジーに的を絞り、贅沢なパーツ構成としながらも真のモバイルPCに必要なミニマルでシンプルな機能実現を目指したスタイリッシュなMacBook Air SSDモデル。両者の価格的な開きは、4万9800円と38万8400円と約8倍弱だ。

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 そんな話を大学の休み時間にしていたら、先生仲間から新聞の全面広告を見せられて「LenovoのThinkPadも15.4インチのWXGA液晶を採用したモデルが5万9850円で売られていますよ!」と知らされた。Web直販の数量限定商品だとは言え、高値が当たり前だと思っていたThinkPadが、なんとEee PCよりたった1万円高とは驚きだ。時代の変化に感心していたら、既にEee PCは小売店の一部で、HSDPA高速モデムを同時に新規契約すると、キャリアからのキックバックでなんとたった1万9800円で購入できてしまらしい。Windows XP搭載モバイルPCの価格がニンテンドーDS Liteと競うとは誰も予想はしていなかっただろう。

 マンションやホテルの宿泊料金、腕時計や自動車、万年筆や携帯電話、いろんな製品ジャンルの中の「ピンキリ価格」を調査して「キリがピンの何倍あるか?」、そして時間の経過とともにその移り変わりを調べるのが筆者の昔からの個人的趣味だが、今まで、最もその差の少なかったジャンルのひとつにPC業界があった。Eee PCとMacBook Airの登場で、今年はPC業界にも大変化が起きそうだ。そういえば、今年は国内でも300万円を超えるVertuの宝飾携帯電話も発売されるようだ。

竹村譲氏は、日本アイ・ビー・エム在籍中は、DOS/V生みの親として知られるほか、超大型汎用コンピュータからThinkPadに至る商品企画や販売戦略を担当。今は亡き「秋葉原・カレーの東洋」のホットスポット化など数々の珍企画でも話題を呼んだ。自らモバイルワーキングを実践する“ロードウォーリア”であり、「ゼロ・ハリ」のペンネームで、数多くの著作がある。2004年、日本IBMを早期退職し、国立大学の芸術系学部の教授となる。2005年3月、より幅広い活動を目指し、教授職を辞任。現在、国立 富山大学芸術文化学部 非常勤講師。専門は「ブランド・マネジメント」や「デザイン・コミュニケーション」。また同時に、IT企業の広報、マーケティング顧問などを務める。

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