良い意味で自然な音。変に迫力を強調することなく、違和感のないサウンドを楽しませてくれる。そのため聴き始めは「ちょっと押しが弱いかも」という印象を持ったが、すぐに体に馴染み、そのあとは長時間聴き込んでも疲れてしまうようなことはない。
ナチュラルな音色なので、音楽ソフト、特にアコースティック楽器が多様されれているようなライブ映像などにはもってこいの印象だった。なかでもピアノの自然さ、音の豊かさはさすがヤマハというべき。アンジェラ・アキの武道館ライブではピアノの上蓋を外しているため痩せて聞こえがちなのだが、YSP-3000では存在感を持った音色として耳に届いてくる。
分解能も悪くない。人の声の特徴をしっかり拾い上げてくれるので、よく見る映画などでは画面に目を向けていなくてもシーンが思い浮かんでくる。もちろんバーチャルサラウンド系の製品であるため、解像度には限界があるが、それをあまり感じさせない、なかなかの秀作だ。
サラウンドに関しては、包まれ感は充分にあるものの、それがとても自然に感じられる点が素晴らしい。なかでも5ビームでは、反射音を利用したサラウンド音声がしっかりと確立されているため、ボリュームの大小や音域変化に伴う揺らぎもなく、安心して映画などのサラウンド音声を楽しむことができた。
自動音場調整機能を行う前と後で聴き比べても見たが、その効果はてきめん。特にサラウンドの包まれ感に関しては、別物と思えるくらい精度が上がっていた。YSP-3000は壁の反射も利用してサラウンドフィールドを作り上げるタイプであるため、部屋によっては詳細なセッティングが必要だ。YSP-3000のハイクオリティーサウンドには、必要不可欠な機能といえるだろう。
音楽ソフト、なかでもジャズやクラシックのコンサートビデオなどをよく見る、という人にはピッタリの1台。YSP-3000の持つ自然な音色、自然な空間表現には、音には多少こだわりのある音楽ファンであってもそれなりの満足感を得られるはずだ。
もちろん映画ファンにもお勧めできる。セリフの明瞭さ、BGMの自然さに関していえば、このカテゴリーのなかでは抜きんでている印象がある。一体化サラウンドシステムとはいえ音やサラウンド感にはこだわりたい人にとって、かなり魅力的な選択肢となるはずだ。
今回の試聴には、ソニーの「KDL-40W5000」および「プレイステーション3」を使用した。またケーブル類は、不慮の画像/音質劣化を防止するため、オーディオテクニカの「アートリンクSシリーズ」光デジタルケーブルと「アートリンクEシリーズ」HDMIケーブルをチョイス。また電源タップもアルミ合金ボディ/OFCケーブル/ロジウムメッキプラグを採用するオーディオテクニカ「AT-PT707」を使い、万全を期している。
機材 | 型番 | メーカー | 価格 |
---|---|---|---|
液晶テレビ | KDL-40W5000 | ソニー | オープン価格 |
BDプレーヤー | プレイステーション3(20Gバイトモデル) | ソニー | 4万4980円 |
HDMIケーブル | AT-EDH1000/1.3 | オーディオテクニカ | 2万3625円 |
デジタル光ケーブル | AT-SDP2000/1.3 | オーディオテクニカ | 1万8900円 |
アナログケーブル | AT-SA2000/1.3 | オーディオテクニカ | 1万8900円 |
電源タップ | AT-PT707 | オーディオテクニカ | オープン価格 |
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