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第93回 春の花と桜と名前の関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)

» 2008年03月27日 08時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 大人になったあるとき「おれって、花の名前を全然知らない」という事実にがく然としたのである。苦手ジャンルなのだ。母親はやたら花や草に詳しいのに、わたしはほとんど知らない。なぜかと尋ねたら「そりゃ、あんたが聞かなかったからだ」と一蹴された。写真を撮るようになると、知らないでは済まされなくなってくるけれど、単に「花」を漠然と撮るより、自分が何を撮っているのか知っていた方がずっと楽しいのである。

 今回はコンパクトデジカメとデジタル一眼レフの両方で撮った写真を掲載している。最近はデジタル一眼レフの人も増えてきたことだし。で、デジタル一眼レフで撮った写真はキャプションに「デジタル一眼レフ」といれておいたので参考にしてください。

桜を撮る

 例えば「桜」。昔、桜といえばソメイヨシノしか知らず、見た目で違いが分かりやすい「ヤエザクラ」と「シダレザクラ」なら分かる……という程度だったのだが、桜の種類ってそんなもんじゃないのである。桜の季節になると桜を撮るわけだが、撮っていると、咲く時期が早い桜、花の色や形状が異なる桜、桜に似てるけどピンクが濃いな、これなんだろう(たいていは桃かと思います)、と気づき始める。

 しばらく、それ以上の追求はしてなかったのだけど、先日、某カメラ雑誌の桜特集を手伝うためにいろいろと調べたり取材をしていたら、日本には桜が何千種類もあり、もともと自生する野生の桜は10種類程度で、自然交配や人為的な交配で作られてどんどん増えたのだということを知ったのである。

 ソメイヨシノは江戸時代にで作られた栽培種で、葉より花が先にでるから華やかなこと、生育がはやいから増やしやすく植樹しやすいこと(その分、寿命も短い)などから、明治以降に日本中に植えられたのである。

 ちなみにソメイヨシノのヨシノは奈良の吉野山から名前だけ拝借したもの。昔から有名な吉野山の桜はヤマザクラであり、ソメイヨシノとは親でも子でもないのだ。

 で、普通に街中の公園で見られるのはソメイヨシノだし、桜の開花宣言もソメイヨシノを基準に出されるのだけど、よく見るとソメイヨシノ以外の桜も植えられているのだ。大きな公園だと、木の名前を書いた札が下がってたり、誇らしげな案内板があったりする。

 そこで今回はソメイヨシノ以外のサクラを取り上げてみた。

コヒガンザクラ

タカトオコヒガンザクラの案内板(左)。タカトオコヒガンザクラをアップで(右)

 「コヒガンザクラ」(小彼岸桜)はエドヒガンザクラとマメザクラの雑種と推定されている桜。葉より先に花が咲くので観賞用によい。ちなみにエドヒガンザクラとマメザクラは日本の野生種。

 ソメイヨシノより一足早く満開を迎え、平日の昼間だというのに花見客が大勢おりました。

大ぶりなコヒガンザクラの並木をちょっと下から(左)。普通に立って木を中心に入れて撮るとこうなる(右)

 ちなみに左の写真のポイントは、しゃがんでややローアングルから撮ったことと、左手の遠くにも桜が見えたので、メインの木を右に置き、左に並木の様子を入れたこと。木を中央に置いて目の高さで撮ると、右の写真のように味気ない、左右バランスの悪い写真になっちゃう。桜の木のピンクの感じを出したいときは、そういう花の桜を撮るのはもちろんのこと、ちょっと引いて撮った方がいい。アップで撮るよりピンクの感じが良く出る。

 桜だけを撮るのもいいけど、その桜が立っている場所ならではの風景というのもあるはず。

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