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快適ライブビューで味わうツァイスの描写――ソニー「α350」レビュー(1/5 ページ)

» 2008年04月17日 08時30分 公開
[永山昌克,ITmedia]

シャッターチャンスに強いライブビュー

 最近はライブビュー、つまり液晶モニタを見ながら撮影できるデジタル一眼が増えている。撮影アングルの自由度が広がることや、撮る前に露出やホワイトバランスを確認できること、撮影者の顔を隠さずに撮れることなどがライブビュー機能のメリットだ。

 ただし、ほとんどのデジタル一眼のライブビューは、AFがスムーズでなかったり、操作や設定が煩雑だったりする。仕組みや使い方は各社まちまちで、まだ過渡期の機能という印象はぬぐえない。本当は素晴らしい機能なのに、使い勝手が中途半端なため、一眼レフ機にライブビューには要らない、あっても使わない。筆者の周りにはそんな風に言う人までいる。ライブビュー積極賛成派の私としては歯がゆい思いだ。

photo ソニー「α350」にキットレンズを装着した状態

 現在最も使い勝手に優れるライブビュー対応のデジタル一眼といえば、ソニー「α350」が筆頭にあがる。1年前まではオリンパス「E-330」が、ちょっと前まではパナソニック「DMC-L10」が個人的なイチオシだったが、今はα350が手放せない。

 α350のライブビューの魅力は3つある。まず1点は、ボディ上部のレバー操作で通常のファインダー撮影からライブビュー撮影へと素早く切り替えられること。ライブビュー派とはいえ、私自身いつも100%ライブビューで撮るわけではない。ボディをしっかりと構えたい時や被写体の表情をはっきり見たい時はファインダーを使う。そして、凝ったアングルで撮りたい時や、ラフなスナップショットを撮る際はライブビューを選ぶ。α350は、その移行がスムーズなのがいい。

photo このように親指でシャッターボタンを押すことも可能
photo 左はα350で、右はライブビュー非搭載の姉妹機「α200」

 2点目はライブビュー時のAFが軽快なこと。AFはシャッターボタンの半押しでスピーディに作動し、AF作動中もライブビューは途切れないし、内部のミラーはぱたぱたと動かない。当たり前かと思うかもしれないが、他社の大半のライブビューはこれができない。十字キーのダイレクト操作でAF測距点を素早く変更できる点もいい。

 3点目は、液晶モニタが上下可動式であること。左右方向に動かないのは惜しいが、上に最大130度、下に最大40度まで可動することで、カメラを高くまたは低く構えるのが楽になる。「ライブビュー=アングルの自由度」をうたうのであれば、固定された液晶では不十分だ。

photo ライブビューなら見上げるアングルも楽々。キットレンズ「DT 18-70mm F3.5-5.6」を使用
photo 地面にはいつくばらなくてもローアングル撮影が簡単。キットレンズ「DT 18-70mm F3.5-5.6」を使用

 このα350のライブビューは、撮像センサーとは別にライブビュー専用センサーを内蔵することで実現した。そのため上記のメリットがある反面、撮像センサーを利用した他社のライブビューとは異なり、視野率100%表示や部分拡大表示はできない。被写界深度のプレビュー表示機能もない。仕組みとは関係ないが、なぜかグリッド表示機能もない。つまりライブビューのもう1つのメリットである、小物や商品の撮影、植物などのマクロ撮影の際に、構図を正確に決め、撮像面を見ながら厳密なピントをマニュアルフォーカスで合わせるといった使い方はできない。

 ただそれでも、快適なAFライブビューはその不足を補って余りあるメリットだ。静物や風景やきっちりと撮るためのライブビューではなく、人物やペット、スナップなどを気楽に撮ったり、動きがある被写体を素早くとらえるためのライブビューといっていいだろう。

photo 四隅までシャープに写る高精細な画質が魅力。これは「Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA」を使用
photo ズーム比6.6倍の高倍率ながら小型軽量の「DT 16-105mm F3.5-5.6」を使用。解像感が高く、発色はクリアだ
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