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ビクターは“大画面”に特化、高級路線へシフト

» 2008年04月25日 19時33分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ビクターは4月25日、平成19年度決算とともに「新中期経営計画」を発表。国内テレビ事業を再編し、製品ラインを42型以上の“大画面”に限定することを明らかにした。販売ルートも系列店およびAV専門店などに絞り込み、昨年7月の再建計画「アクションプラン2007」に基づく“選択と集中”を加速させる。

photo 国内ディスプレイ事業の実態。売り上げ構成比はほとんど変わらないが、営業利益は大きくダウンしている

 2007年度決算は、連結売上高が前期比11%減の6584億円。年間営業黒字を達成することはできたものの、純利益が475億円の赤字となった。民生用機器部門では、DVDレコーダーの絞り込みにくわえ、主力のカムコーダー、液晶テレビ、オーディオがいずれも市場競争の激化で苦戦。「販売の前年割れ、液晶テレビ事業の苦戦などの課題を残した」(同社)。

 今回発表された平成22年度までの「新中期計画」では、今後もデジタル家電市場では競争激化が続き、一方で原油価格や素材価格の高騰など厳しい経営環境が続くと判断。構造改革の一環として収益が悪化している国内の民生用テレビ事業の縮小および英国子会社JVC Manufacturing U.K. Limitedの生産活動終了を決めた。

 国内では基本的に他社製品との同質競争を避け、中・高級機ユーザー向けに絞り込む。具体的には、42型以上の大画面液晶テレビ、D-ILAフロントプロジェクター、レコーダー、スピーカーシステム、アンプなどの大画面ホームシアター市場をターゲットとする。

photophoto ディスプレイ事業の経営改革

 製品計画としては、2008年度中に“スリム液晶テレビ”や、iPodと連携できる“iPod液晶テレビ”といった新コンセプト商品を提案するほか、フルHDプロジェクターなど中・高級ホームシアター製品を強化する。「ビクターのDNAである映像技術をさらに強化し、成長戦略につなげる」(ビクターの佐藤国彦社長)。

 2009年度から2010年度にかけては、さらにスマート&ライトウェイトのスリムテレビやオーディオ技術を生かしたAVネットワーク・ホームシアターといった高付加価値路線を推進。一方のD-ILAフロントプロジェクターでは、ハイコントラスト化と小型化を進めるほか、民生用4K2Kプロジェクターの開発も視野に入れる。

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