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東芝、“DVD”ドライブ搭載の「RD-X7」など4機種を発表「VARDIA」再始動(1/2 ページ)

» 2008年05月15日 11時00分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 東芝は5月15日、HDD&DVDレコーダー「VARDIA」シリーズの新製品として、フラグシップモデル「RD-X7」を含む4機種を発表した。2月のHD DVD事業終息を受けて光学ドライブはDVDマルチに変更されたが、一方でネットワーク経由でDVDソフトを購入できる「DVD Burning」や高速起動モードを搭載した機種をラインアップするなど、「アグレッシブな仕様」(同社)を盛り込んだ。6月中旬から順次発売する。

 新製品はフラグシップの「RD-X7」、スタンダードモデル「RD-S502」「RD-S302」、そしてエントリーモデル「RD-E302」の4機種。これに既存のVHS一体型DVDレコーダー「RD-W301」を加えた5機種で同社はオリンピック商戦に臨むことになる。

photophoto フラグシップモデルの「RD-X7」(左)とスタンダードモデル「RD-S502」(右)
photophoto 「RD-S302」(左)とエントリーモデル「RD-E302」(右)
型番 RD-X7 RD-S502 RD-S302 RD-E302
HDD容量 1Tバイト 500Gバイト 300Gバイト 300Gバイト
光学ドライブ DVD-R/-R DL/-RW/RAM(RD-X7のみカートリッジ付きのDVD-RAMに対応)
チューナー 地上/BS/CS110度デジタル×2、アナログ地上波×1 地上/BS/CS110度デジタル×1、アナログ地上波×1
MPEG-4 AVC記録+HD Rec
高速起動
DVD Burning
スカパー!連動
i.LINK ○(TS入出力) ○(TS入出力) ○(TS入出力)
モニター出力
実売想定価格(※) 16万円前後 11万円前後 9万円前後 7万円前後
発売時期 6月中旬 7月上旬
※価格はオープンプライス

 あつかいに立った東芝デジタルAV事業部の下田乾二事業部長は、「残念ながらHD DVD事業を終息することになり、『東芝のレコーダー事業はどうなるのか』という声をたくさんいただいた」と、この3カ月間を振り返る。

 「HD DVDがなくても、VARDIAは確固たる信念を持って進めていく。次世代DVD戦争が終わったとはいえ、現在も単体レコーダーの約75%は赤(赤色レーザー、DVDの意味)の市場。VTRはピーク時で年間800万台規模の市場を形成したが、現在のレコーダーはその半分にも満たない。そこに積極的に訴求していきたい」(下田氏)。

photophoto 東芝デジタルAV事業部の下田乾二事業部長(左)と同じくDAV商品企画部の片岡秀夫参事(右)。「多くの励ましの言葉をもらい、われわれの作ったレコーダーがいかに愛されているか分かった」(片岡氏)

 エントリーモデルの「RD-E302」を除く3機種は、MPEG-4 AVCトランスコーダーを搭載し、DVDへのハイビジョン記録を可能にする「HD Rec」をサポートしている。周知の通り、HD RecはBDレコーダーの「AVCREC」と互換性がなく、次世代DVD戦争の“残り火”といえそうだが、同社はむしろ積極的に機能を強化した。

 MPEG-4 AVC記録時にビットレートを3.6Mbpsから17Mbpsまで47ステップで設定できる柔軟さは「RD-A301」と同じ。新しいのは、直接HDDへMPEG-4 AVC録画できることと(A301はバージョンアップで対応)、「HD Rec」でダビングできるメディアが拡大したことだ。従来はDVD-Rのみだったが、DVD-R DL/-RW/-RAM(3倍速以上のCPRM対応メディア)にも書き込める。また、TSタイトルをTSEタイトル(MPEG-4 AVC)に変換ダビングする際、チャプターが継承されるようになった点も大きな改善だろう。

「ダビング10」のメリットを最大限に

 同様に「ダビング10」への対応も、編集機能に注力するRDシリーズらしい柔軟な仕様になった。「単にダビング10に対応したといっても、各社のアプローチはそれぞれ異なる。VARDIAの場合、プレイリストからのコピー/ムーブにまで対応しているため、できることの幅が広い」(片岡氏)。

 例えば本編だけを集めたプレイリストを作り、DVDへダビング。この場合、プレイリストに含まれる部分はコピー可能回数が1回減るが、ダビングしていない部分はコピー可能回数を維持できる。また複数の録画タイトルにまたがったプレイリストを作ってDVDへダビングすることも可能だ(プレイリストの元になったHDD上のタイトルはそれぞれコピー可能回数が1回減る)。

photophoto コピー回数が残っている番組には左下に緑のアイコンが付く(左)。ダビングモードには高速コピー管理ダビングが加わった(右)

 さらに、プレイリストを使ってタイトルの一部をHDD内で“ムーブ”すると、移動した部分とオリジナルタイトルはともにコピー回数を維持した状態で残すことができる。コピー回数を減らさずにタイトルを“分割”したいときに便利だ。

 一方、プレイリストを使ってタイトルの一部をHDD内で“コピー”すると、ムーブのみ可能なオリジナルタイトルの複製ができる(もとのタイトルはコピー8回、ムーブ1回になる)。これを利用してチャプター分割を行えば、チャプターを別々のDVDにムーブ可能。複数の歌番組からアーティスト別のディスクを作成したい人などには有用だという。

photophoto ダビング10の応用例

 このほかにも、コピー可能回数が異なるタイトル結合しても(通常はコピー可能回数が少ないほうに合わせてしまうが)、チャプターを結合しない限りは、それぞれのチャプターがコピー可能回数を維持していて、再び分割した場合には本来のコピー回数表示に戻るといった細かい配慮もある。ダビング10の枠内で、そのメリットを最大限に享受するための仕様といえそうだ(RD-E302は一部機能に非対応)。

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