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オンキヨー「TX-SA606X」で観る「セリーヌ・ディオン/A New Day ライヴ・イン・ラスベガス」の面白さ山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.15(1/2 ページ)

» 2008年05月28日 12時13分 公開
[山本浩司,ITmedia]

 昨年オンキヨーから発売された「TX-SA605」は、10万円以下でドルビーTrueHDやDTS-HD MA(マスターオーディオ)などのHDオーディオ音声のフルデコードに対応した唯一のAVアンプということでたいへんな人気を呼び、記憶に残るヒット作となった。

 この春は、ヤマハからも「DSP-AX763」という標準希望小売価格で8万4000円のHDオーディオデコード対応AVアンプが発売され、この価格帯での競争激化が予想されるなか、TX-SA605の後継機種にあたる「TX-SA606X」が4月下旬から店頭に並び始め、すでに多くのAVファンの注目を集めているようだ。

photophoto オンキヨー「TX-SA606X」はゴールドとシルバーの2色展開。価格は8万4000円

 前回の本欄で、ヤマハ「DSP-AX763/863」の詳細についてリポートしたが、そのDSP-AX763と同じプライスタグがつけられたTX-SA606Xをじっくり使ってみたところ、これまたたいへんできの良いAVセンターであることが分かった。今回はこの製品の魅力について触れてみたい。

 資料を見ると「AQUOS、VIERA、REGZAとシステムリンクする高品位な本格AVセンター」という見出しが躍り、HDMIのCEC機能による外部機器制御機能が強調されているが、使ってみて、まず何より音の良さがTX-SA606Xの魅力だと思った。

 Ver.1.3a対応のHDMI入力は4つ。昨年の605よりも2系統増えている。1080pのフルハイビジョン出力が可能で、32(12×3)bit Deep Color、x.v.Colorにも対応している。もちろん前述したロスレスHDオーディオ音声のフルデコードが可能である。

 デジタル音声処理用DSPは、TI(テキサス・インスツルメンツ)の「Aureus(オーリアス)」シリーズを採用。このDSPは、HDオーディオ等のサラウンド・デコードのほかに自動音場補正や「AudysseyDynamicEQ」用にも活用される。このEQは小音量時のサラウンド効果を補正するというもので、THXのオリジネーターであるトムリンソン・ホルマン博士の研究開発を元に仕上げられたものである。

 本機は7チャンネル・パワーアンプ構成だが、筐体内部をのぞくと、その出力素子は7ch分を1列にL/R用をシンメトリーに配置していることが確認できる。これは左右の信号経路の距離をそろえることで、より精密で正確な空間表現を狙ってのこと。また、増幅段は直立させ、入/出力と電源供給用のレギュレーターを1つにまとめ、ステージごとに信号とグラウンドの閉ループ化を図っていることが分かる。いかに筐体内部のグラウンド電位を安定させ、各種信号処理ステージが入り乱れるAVセンター内のノイズ除去に意を払っているかが、このへんの造り込みにうかがえる。

 また、DSP回路とHDMI関連回路は、1枚の4層基板に集約し、高周波電流を最短距離で流し、できる限り内層部を経由させることで不要輻射を軽減させる設計が採られている。AVセンターを長年手がけてきたオンキヨー技術陣の匠(たくみ)の技がうかがえるところである。

 実際に体験したそのサウンドは、価格が信じられないほどの本格的なもの。非常にダイナミックで、力感に満ち溢れた音である。とくに図太さを感じさせる音像のリアリティが抜群で、独特のバタくささを感じさせる濃厚な味わいがあるのが面白い。

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