三洋電機は6月5日、ハイビジョンムービーカメラ“Xacti”の新製品として、新たなフラグシップ機となるフルハイビジョンモデル「DMX-HD1010」を発表した。6月20日に発売する予定で、価格はオープンプライス。店頭では12万円前後になる見込みだ。ボディカラーは従来機と同じブラックのほかに、新色「ダークシルバー」をラインアップしている。
約400万画素のCMOSセンサーや「プラチナΣエンジン」といった基本コンポーネントを従来機「DMX-HD1000」から継承しつつ、周辺回路とファームウェアの刷新により、さらなる画質向上を目指した。「外観や基本的なデバイスはHD1000と共通だが、基板設計からソフトウェアまで大きく変わった。中身はいちから作り直したと言っていい」(三洋電機デジタルシステム研究所シリコンムービー開発部の村田治彦部長)。
まずH.264による映像圧縮時のアルゴリズムを見直し、1920×1080/60i撮影時の平均ビットレートを従来の12Mbpsから14Mbpsに引き上げた。同時にレート変化予測機能を追加して、動きのある被写体に対しても早めに情報量を割り当てるようにしている。
「例えば、急に細かいもの(情報量が必要なもの)がフレームインするとビットレートは上昇する。しかし、高いビットレートを維持すると記録時間が短くなってしまうため、従来機では急上昇した後に急下降して画質が大きく変動することがあった」。VBRの制御としては一般的なアルゴリズムだが、動きのある部分にブロックノイズが生じるケースも多かったという。
しかしHD1010では、映像から得た情報を元にビットレートの上昇と下降を予測することで早めに符号量を増やし、動きが収まった後でビットレートを抑える。これにより、画質の向上とノイズの抑制を図ったという。なお、平均ビットレートが従来よりも高くなったため、記録時間は8GバイトのSDHCカードを利用した場合では約74分になる。
さらに、ガンマ特性の見直しやダイナミックレンジの拡大、ノイズリダクションなど信号処理系の最適化。「無理にエッジを強調することなく、解像感や色合い、さらに暗所での撮影画質を向上させた」(同社デジタルシステムカンパニーDI事業部DI企画課の市居伸彦主任企画員)という。
ユニークな新機能として、300fpsの高速度撮影が可能な「Web-SHR」モードが挙げられる。これは高速読み出しが可能なCMOSセンサーの特徴を生かしたもの。撮影した動画を通常の60fpsで再生すると5分の1スローモーション動画が楽しめる。高速度撮影は解像度は448×336ピクセル、音声なし、連続撮影時間は10秒までという制限はあるが、「鳥の羽ばたきやミルククラウンもとらえることができる」という。なお、高速度撮影を行う際には、スピードクラス4以上のSD/SDHCカードを使用する必要がある。
このほかにも、動画撮影時に最大12人までの顔を検出してフォーカスと露出を合わせる「顔検出&追尾」機能や、1920×1080/30p撮影モード、4Gバイトを超えるムービー連続撮影などが新しい。オートフォーカス精度の向上、LCDモニターの彩度向上といったアップデートもある。
撮影した動画を管理する「Xactiライブラリ」も改善された。付属のドッキングステーションに市販の外付けUSB HDD(バッファローおよびアイ・オー・データ機器の製品で動作確認)を繋ぎ、PCなしでムービーや写真データの保存・再生が行えるのは従来と同じだが、今回から撮影日別にロール振り分けができる「日付別振り分け機能」を搭載した。「従来は転送した日付しか分からなかったが、今回から撮影日別に分類される。イベントのあった日からムービーファイルを容易に見つけ出せる」。
付属ソフトの「Nero 8 Essentials for Sanyo」は、従来のDVDにくわえてBDおよびAVCHD形式での書き出しに対応。編集はマルチスレッドに最適化され、エンコード作業も高速化したという。対応OSはWindows XPおよびVista。
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