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「GPS」――iPhone 3Gに見る新たな活用法デジモノ家電を読み解くキーワード

» 2008年08月07日 10時00分 公開
[海上忍,ITmedia]

iPhone 3Gの測位機能

photo A-GPSによる迅速な現在位置の表示を可能にした、iPhone 3Gの「マップ」

 7月に発売された「iPhone 3G」には、GPSチップが内蔵されている。初代iPhoneも現在位置の捕捉は可能だったが、計算に使う情報は携帯電話基地局やWi-Fiアクセスポイントから取得する「GPSもどき」で、メートル単位での正確な位置は算出できなかった。共通のファームウェアを使用するなど、ハードウェアスペック的には共通項の多い新旧iPhoneだが、こと測位機能に関してはGPS内蔵のiPhone 3Gが格段に高精度だ。

 とはいえ、GPS標準対応が進む日本の携帯電話市場では、GPSチップ内蔵という材料だけでは訴求効果に乏しい。明らかに後発組に属するGPS測位機能のなにが目新しいのか、以下に要点をまとめてみよう。

ミソは「A-GPS」

 iPhone 3Gには、GPSの進化版といえる「A-GPS」(Assisted GPS)が搭載されている。衛星から受信した信号のほか、携帯の基地局とWi-Fiアクセスポイントから取得した情報を加味することが、一般的なGPSによる測位との違いだ。カーナビでは、GPSのほかに加速度センサーやジャイロセンサーなどの機器から取得した情報を組み合わせて測位精度を高めているが、iPhone 3Gでは計測器のかわりに通信機能を利用するわけだ。

 このA-GPS、iPhone 3Gでは大まかな位置情報を取得する場面で活用されている。GPS衛星との通信は建造物などに影響されやすく、安定して捕捉できるまで長い時間を要することがあるが、携帯電話基地局からの情報取得ならばそれほど時間はかからないからだ。実際、iPhone 3Gで現在地を確認すると、最初は携帯電話基地局(および公衆無線LAN APの一部)で確認した広範なエリアを表示し、その後GPSによる正確な情報を得て狭い範囲をズームイン、という順序で地図が表示される。

地図機能はソフトも重要

 表示される地図がPCと同じ「Googleマップ」ということも、iPhone 3Gの特徴といえる。通常の地図のほか、航空写真、そして地図と航空写真を重ね合わせたハイブリッドと、3種類のビューを切り替えることができるのだ。NTTドコモの端末に対応したGoogleマップのサービスも、2007年から提供されてはいるが、iPhone 3GのマルチタッチUIによる操作のほうが地図の閲覧に適している印象だ。

 Googleに期待するところも大きい。ソフトの開発および地図データの更新はGoogleが行い、しかも利用は無料。Googleは5月末に360度の風景画像を表示する「Street View」という新サービスを開始しているが、もしかしたらiPhone 3Gでも……という可能性はある。有償のサードパーティー製アプリを使うことが前提の日本製携帯電話とは、実はこの「ソフト」に対する考え方がGPS機能における最大の相違点なのかもしれない。

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