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津田大介:「ダウンロード違法化」ほぼ決定 その背景と問題点 (1/3)

違法録画・録音物のダウンロード違法とする「ダウンロード違法化」がほぼ決定した。「ダウンロード違法化」とは何か、著作権法のどこが変わるのか、ユーザーにはどんな影響があるのか――解説する。

 10月20日、約3カ月ぶりに開かれた文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」において、2006年以来争点となっていたiPodに代表されるメモリーオーディオへの課金を見送ることと、著作権法第30条の範囲を見直すことが確認された(“iPod課金”見送り ダウンロード違法化へ)。

 委員会を主管する文化庁はこの骨子に従い報告書案をまとめ、来年の通常国会に著作権法改正案を提出する見込みだ。改正後は、インターネット上に置かれている権利者に無許諾で複製された「“音楽”と“動画”の違法ファイル」をダウンロードする行為は違法になる。

「30条の変更」と「ダウンロード違法化」の関係

 そもそもなぜ著作権法第30条の変更が違法な音楽・動画ファイルをダウンロードすることを違法にするのか。それを知るには著作権法の当該条文を読み解く必要がある。

著作権法より引用

第30条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

1 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合

2 技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。


 この30条は、個人が著作物を私的な目的で限定的に利用する場合に限り、著作権を持つ権利者に許諾を得ずに複製(コピー)することを認めたもの。日本の著作権法には30条があるため、個人が音楽CDをPCにリッピングしたり、テレビ番組をビデオやHDDに録画することは合法とされている。

 ただし、私的複製目的であれば何でも自由にコピーできるというわけではない。限定された範囲内でなければコピーは合法にならない。条文の「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」という部分は、コピー目的が個人的なもの、もしくは同居する家族のためならOKという意味であり、家族ではない他人や友人にコピーするのはNGとなる。

 ただし「その他これに準ずる限られた範囲内」という指定をしていることから、家族ぐるみの付き合いをしている非常に親しい友人であれば範囲内に含まれると解釈する法律家もいる。このあたりはグレーだが、いずれにせよ1つの音楽CDや録画したテレビ番組を、複数のクラスメイトや職場の同僚にコピーして配って回るというのは私的複製の範囲外となる。

 もう1つ重要なポイントが「使用する者が複製することができる」という点だ。これはつまり、使用する(著作物を楽しむ)者でない人間・業者がコピーする場合、私的複製の対象外になるということ。いくら自分で購入した著作物で、自分が楽しむためにコピーする場合であっても、他人や業者に頼んで「コピーしてもらう」という行為は私的複製ではなく、違法行為になる。

 加えて1項の柱書の「1」「2」で指定されている行為は私的複製の例外として、通常の私的複製の範囲内でコピーしても違法行為とみなされる。「1」は分かりにくいが、ボタンを押せば自動的にコピーが行われるような機械が「公衆の使用に供する目的として設置されている」、つまり誰でも使える状態になっている場合、その機械を使ってコピーするのは私的複製であってもNGだ。

 もう1つの「2」は1999年の著作権法改正で盛り込まれた大きな変更点で、「技術的保護手段の回避」を行い、コピーをする行為が違法となった。技術的保護手段とは平たく説明すればコピーガードのこと。複製をできないようにするDRM技術を組み込んだコンテンツに対して、それを外してコピーする行為は私的複製の範囲外になった。

30条2項と「iPod課金」の関係

 2項は、デジタル録音や録画の私的複製について、消費者が権利者に対して「補償金」を支払うことを定めた規定だ。

 補償金導入以前は、日本には私的複製を認める30条があるおかげで、長年消費者は自由に音楽やテレビ番組をコピーすることができた。

 しかし権利者は、デジタルで複製できる機器が進化したことで、消費者が正規品を購入する機会が減り、権利者が本来得られるはずの利益が損なわれているという問題意識を抱えており、欧米の一部の国で導入されている複製機器やメディアに一定の割合で補償金をかけ、そこから得られる利益を徴収する補償金制度の導入を長年文化庁に要望していた。

 こうした背景の中、1992年には権利者の要望を受けた形で日本にも私的録音録画補償金制度が導入され、現在に至っている。

 補償金の対象機器・メディアは、時代背景や新しい機器の登場に合わせ、その都度個別に政令で指定することとなっており、現在は録音でDAT、DCC、MD、音楽用 CD-R、音楽用CD-RW。録画でDVCR、D-VHS、MVDISC、DVD-R、DVD-RW、DVD-RAMとなっている。

 ただし30条2項で補償金の課金対象となっているのは、録画・録音機器とメディアが別々になっている「分離型専用機器」「専用記録媒体」のみ。HDDレコーダーやiPodのように機器とメディアが一体になっている「一体型機器」に課金するには同項の改正が必要になる。

 2002年以降急速に普及してきたiPodに代表されるシリコン(メモリー記録型)オーディオ機器を対象機器に含めるよう同項を改正するかどうか、ここ数年の補償金問題を巡る大きなトピックとなっていた。いわゆる「iPod課金」問題だ。

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