レビュー

バイヤーズガイド:今が“旬” 低価格フルHDプロジェクター4機種を比較する (1/2)

今年のフロントプロジェクターは、平均レベルが高い。昨年のミドルクラスと拮抗する実力を持ち合わせながら、10万円前後のコストダウンを果たした製品ばかりだ。

 今を旬といわずして、いつが旬なのか。今回、比較的価格の安いフルHDプロジェクター4台をテストして、真っ先に思った感想だ。フルHDの美しい映像をあますところなく堪能できるプロジェクターが、25万円前後の価格で購入できること自体喜ばしいことなのに、そのクオリティーの高さには正直驚かされた。

 もちろん、エントリークラスであるために妥協されている点もいくつか見受けられる。上位モデルの方が圧倒的なアドバンテージを持っているのも事実だ。しかし、今年の“底辺”は平均レベルが高い。1世代前に比べてクオリティーはかなり底上げされている。

 具体的にいえば、今年のエントリーモデルは、昨年のミドルクラスと拮抗する実力を持ち合わせている。単純に同じフルHD解像度というだけでなく、映像の見せ方や階調の細やかさまでも同レベルといえる。惜しげもなく最新技術を投与しながら、価格は10万円前後という大幅なコストダウンを実現した。

 明らかにこれらは、戦略的な価格設定だと思う。はっきりいって今年のエントリーモデルは、どんなに売れても大きな利益には繋がらないだろう。そこまでしても新しいユーザーを取り込み、プロジェクター、しいてはホームシアター市場の拡大をさせたいと、各メーカーは考えている。「大画面で映像コンテンツを楽しむ」層が増えてくれることは、映像機器メーカーの将来にとってはとても重要なこと。メーカーにとっては先行投資なのかもしれないが、ユーザーにとっては単にいいものが安く買えるのだから、これほど嬉しいことはない。だからこそ、プロジェクターは「今が旬」といえるのだ。

 実際、25万円前後の予算で購入できるのは、液晶テレビでいえば42〜46型あたり。それでも充分大きいといえば大きいし、製品としてのキャラクターが異なるため単純な比較はできないかもしれないが、同じような予算で100インチ以上の大画面を楽しめることに魅力を感じた人も少なくないはず。

 「プロジェクターは明るい場所では見られない」という弱点を指摘する人がいるかもしれない。もちろんそれは事実だが、最新のプロジェクターはエントリークラスながら(エントリークラスだからかもしれないが)最大輝度が1800ルーメンある製品も登場しており、リビングでの使用も想定されるようになった。昼間や明るい部屋ではさすがに無理だが、間接照明が中心の部屋なら、充分楽しめる。

 このように魅力の高まったフルHDプロジェクターだが、エントリークラスであるためのコスト制限もあり、どれも万能機とはいえない。自分の環境や好みに合わせて製品を選ぶ必要があるのも事実だ。ここでは4台のレビューの総まとめとして、低価格フルHDプロジェクター選びのコツを、実売30万円台のミドルクラスの情報も交えつつ紹介していこう。

自宅の環境を考える

 まず最初に考えなければならないのは、プロジェクターをどのような場所に設置し、主にどのような照明の状態で利用することになるかだ。リビングなどで照明を明るめにして、家族や友人たちなど数人で見ることが多い場合は、できるだけ輝度の高い製品がよい。そういった点で圧倒的なアドバンテージを持っているのが、エプソン「EH-TW3000」だ。

 こちらは最大輝度1800ルーメンという、ビジネス用液晶プロジェクターに近い明るさを持ち合わせているので、昼間や照明の多い明るい部屋でなければ充分に楽しめる。今回のテストでは6畳ほどの大きさのなか30+40型蛍光灯を点けてみたが、それでもきちんと鑑賞できることが確認できた。間接照明などであれば、映像クオリティーを大きく落とすことなく充分に楽しめるだろう。

photophoto エプソン「EH-TW3000」(左)と三洋電機「LP-Z700」(右)

 明るさに関しては、三洋電機「LP-Z700」も捨てがたい。最大輝度が1200ルーメンであるため、EH-TW3000ほど強烈な明るさはないが、全体的にメリハリのしっかりした絵作りを得意としており、スペックよりもかなり見やすい印象だった。また部屋が明るい時と暗い時で、絵柄の傾向にそれほどの変化がないという点でも好印象。安定した、安心して映像を楽しめるモデルといえる。

 一方のEH-TW3000は、明るい時と暗い時ではだいぶ絵柄の印象が異なっている。明るい時にはエッジの立ったメリハリのある映像を、暗い時には階調がぐんと幅広くなった映像を楽しませてくれる。ここまで絵柄が違うと違和感をおぼえる人がいるかもしれないが、言い替えればどちらの環境でもベストな映像を楽しませてくれるということ。このあたりは好みの範囲だろう。

photo エプソンの上位モデル「EH-TW4000」

 それよりも気になったのは、EH-TW3000の“黒浮き”に関して。あまりにも明るいために、部屋を真っ暗にして見ていると透過型液晶プロジェクター最大の弱点、黒い場所が完全な黒にならない現象が気になってくる。こちらは各項目を調整することで多少は解決されるし、人によっては気にならないレベルだが、もし僕と同様、それが目についてしまう人には、ワンクラス上のモデル「EH-TW4000」をお勧めしよう。こちらは新型D7C2FINEパネルとエプソン独自の「DEEPBLACK」技術により、かなり黒浮きが押さえられているうえ、コントラスト比も7万5000:1と表現が豊かになっている。倍速駆動による動画ボケ/残像も大幅に解消されており、EH-TW3000の価格に10万円を上乗せする価値は充分あるモデルだ。

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