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“何を重視するか”で決まるAVC録画世代のレコーダー選びBD/DVDレコーダー特集(1/3 ページ)

» 2008年12月20日 00時19分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 MPEG-4/AVC録画対応のレコーダー登場から約1年が経過した。先行したパナソニックとソニーはそろって2008年秋冬モデルで第2世代に移行し、他社も2008年発売の製品ではほぼMPEG-4/AVC録画に対応。共同開発製品(OEM含む)もあわせ、参入メーカーの多くが同じ土俵に上がった。選択肢が増えたBDレコーダーを中心に、一部のDVDレコーダーも含めてこの冬のレコーダー選びのポイントと製品のピックアップを行ってみよう。

ソニー

BDへの“こだわり”が詰まったソニー「BDZ-X95」(前編)

BDへの“こだわり”が詰まったソニー「BDZ-X95」(後編)

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ソニーの2008年冬モデルは、新映像エンジン「CREAS」などBlu-ray Discに対するこだわりが詰めこまれている。まずは独特のユーザーインタフェースや定評のある番組検索、自動録画機能など、日常の操作を快適にする部分から検証していこう。


パナソニック

全方位の進化を果たしたパナソニック「DMR-BW930」(前編)

全方位の進化を果たしたパナソニック「DMR-BW930」(後編)

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パナソニックのBlu-ray Discレコーダー「DMR-BW930」。長時間録画やBD再生画質に注目されがちな同機だが、細かく見ていくと、まるで同社の底力を見せつけるかのように全方向の進化を遂げていることが分かった。


三菱電機

マイチェンでもツボをおさえた強化――三菱電機「DVR-BZ110」

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夏にBDレコーダーに参入した三菱電機が早くも新機種を投入した。基本的にはマイナーチェンジに相当するが、きちんとポイントをおさえた機能強化が図られている。


東芝

独自の進化を果たした東芝「RD-X8」(前編)

独自の進化を果たした東芝「RD-X8」(後編)

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東芝からハイビジョンレコーダーの2008年冬モデル3製品が登場する。全製品に高精細技術「XDE」を搭載、ネットワーク接続による「スカパー!HD」録画に対応するなど、独自の進化を果たした。


パイオニア

AV機器としてのコダワリに満ちたBDレコーダー、パイオニア「BDR-WD900」

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パイオニアから初のBDレコーダーが登場した。自社製の最新BDドライブを搭載し、ダブルチューナー、MPEG-4/AVC録画といったトレンドもしっかりと抑えた製品。さっそく検証していこう。


シャープ

“5倍録画”の「AQUOSブルーレイ」新登場

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シャープがBDレコーダー「AQUOSブルーレイ」の新製品3機種を発表した。MPEG-4 AVC/H.264トランスコーダーを搭載し、“5倍録画”モードを実現。


日本ビクター

ビクター、BDレコーダー“らく録ブルーレイ”発売

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日本ビクターがBD/HDDレコーダー“らく録ブルーレイ”「DR-BX500」を発売。MPEG-4 AVCエンコーダーを搭載、最長5倍の長時間録画が可能な録画モードを備える。


画質は拮抗(きっこう)、長時間録画のトレードオフに注意

 今年のトピックはなんといってもMPEG-4/AVC録画だろう。2008年の夏ごろまでは非対応製品も店頭に多く並んでいたが、最新モデルではほとんどが対応済みで、ハイビジョン解像度のままより小さな容量で保存、つまり同じ容量の光学メディアやHDDにより長時間録画を可能にした。従来のハイビジョン録画は放送波をそのまま記録するTS録画のみで、記録する段階では製品ごとの画質差が生じなかったが、MPEG-4/AVC録画ではいわゆるエンコード処理が介在するため、製品ごとに録画段階での画質差が生まれている。

 気になる画質差だが、MPEG-4/AVC録画で番組を選ばず破たんのない録画が行えるとされるスタンダード画質(8〜10Mbps程度)で比較する限り、製品購入を決定付けるほどの差は感じにくい。ソニー製品は最大解像度を1440×1080ピクセルから1920×1080ピクセルのフルHDに引き上げ、以前のモデルではブロックノイズの発生が気になった東芝もエンコードチップの変更で一気に改良してきた。そのほか、2008年春夏モデルで対応した後発組もほとんど問題はない。時間をかけたことが画質にも十分反映されている様子だ。

 一方でカタログスペックレベルの競争になりつつあるのが「5倍」「6倍」「7倍」といった表記を使った長時間録画だ。この表記はTS録画に対して同じ容量でどの位の時間を録画できるかで、例えば6倍録画と呼ぶ場合にはBSデジタル放送を1時間録画できる容量に6時間録画できるということを示している。ここで注意したいのは、ビットレートが最大約24MbpsのBSデジタル放送の録画が規準であり、最大約17Mbpsの地上デジタル放送を録画したときとは数字の持つ意味合いが変わる点だ。

photo パナソニック「DMR-BW930」の録画モード選択画面。約4.3Mbpsの「HLモード」が追加されており、2層BDなら24時間の録画が可能になった

 例えばパナソニック「DIGA」シリーズの2008年秋モデルでは最大5.5倍録画を可能としているが、1層BDメディアに対して地上デジタル放送はTS録画で約3時間録画できるのに対し、最大5.5倍の録画モードでも約12時間の録画時間だから4倍録画ということになる。もちろんこの点は、パナソニック機以外でもまったく同じ状況だ。

 また、長時間録画は魅力的であるが基本的に画質を犠牲にする点には注意したい。より長時間録画の可能な画質モードはあった方が確かに便利だが、あくまでも“付加機能”と考えたほうがいい。どの製品でもビットレートが5Mbpsを下回る画質モードでは画質の劣化が急速に進み、動きの少ないシーンと多いシーンでの画質の違いが大きくなる。つまり、録画する番組を選ぶのだ。

 それでも長時間録画にこだわりたいというなら、製品ごとの傾向を抑えるべきだろう。5倍を超える長時間録画を採用しているのはソニー、東芝、パナソニックとなるが、ソニー製品は解像度よりも動き重視の感があり、東芝製品は逆に解像度を重視、あくまでバランス指向なのがパナソニック製品といえる。東芝製品に関してはDVDレコーダーである点も関係してくると思うが、アナログ時代のメーカー色がそのまま反映されている印象だ。

 また、それに関連してくるのがDVDメディアへのハイビジョン録画だ。対応するのは東芝、パナソニック、日本ビクター、日立製作所、三菱電機の製品となるが、いずれの製品も1層DVDメディアに2時間という、アナログ世代のSPモードに相当する録画時間はクリアしている。ただし、DVDメディアとBDメディアの容量あたりの価格差は大幅に縮まっており、従来ほど運用コストの差はでない。もちろん海外メーカー製の格安DVDメディアを多用するなら話は別だが、現状ではDVDメディアへのハイビジョン録画も付加機能の1つと考えたほうが正解だ。記録したメディアを再生するにも実質的に対応するレコーダーが必要になるなど(対応プレーヤーはほぼ皆無)、再生互換性という点でも課題は多い。

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