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発想の逆転、無線LAN内蔵SDカード「Eye-Fi」を味わうレビュー(1/4 ページ)

» 2009年01月06日 12時54分 公開
[小山安博,ITmedia]

 デジタルカメラで撮影した画像を閲覧する方法はいくつかある。カメラの背面液晶が一番手軽だが、画面サイズが小さい。PCに取り込むのは、わざわざカメラやメモリーカードをPCにつないで取り込む手間が発生する。撮影した瞬間、画像を無線LANでPCやWebアルバムに取り込めたら――そんなシームレスな快適さを実現したのがアイファイジャパンの「Eye-Fi Share カード」(以下 Eye-Fi)だ。

photo Eye-Fi Share カード。オレンジの本体が特徴

発想の逆転、無線LAN内蔵のSDカード

 これまで、撮影した画像データを無線でやりとりできる無線LAN内蔵デジカメという製品はニコンなどが販売してきた。無線LANの搭載によって、メモリカードやケーブルの抜き差しナシでデータをカメラから持ち出せるので、個人的にはぜひ一般化して欲しい機能だったのだが、いまだ一般的な存在にはなっていない。そんななかで登場したのが、「Eye-Fi」だ。

 Eye-Fiは、無線LAN機能を内蔵したSD型メモリーカード。サイズは一般のSDメモリーカードと同一ながらも無線LAN機能を内蔵しており、利用することで通常のデジカメが無線LAN内蔵デジカメに早変わりする。無線LAN機能をカメラではなく、メモリカードに搭載した、発想の逆転をカタチにした製品ともいえる。2Gバイトの容量も備えているので、通常のSDメモリーカードと同様に、撮影画像を記録することもできる。

 当初米国で発表され、家電展示会「International CES」で展示されていたころから注目していたのだが、海外の無線製品は法律的に国内で利用できないため購入は二の足を踏んでいた。それが昨年末、国内でも販売開始された。

photo 付属のカードリーダー。Eye-Fiカードから画像データを読み込むだけの場合は普通のカードリーダーを使ってもいいが、設定を書き込むためにはこのリーダーを使う必要がある

 Eye-Fiは、メモリーカードとUSB接続のカードリーダーがセットで販売される。このカードリーダーをセットにしたというのが“キモ”だ。

 必要とされる設定の煩雑さが、無線LAN製品を「難しく」している要因のひとつであり、最近ではそうした煩雑さを軽減するための手段も豊富になってきたが、それでもまだ慣れていない人が設定するのは難しい。詳述はしないが、セキュリティや使い勝手を考えて無線LAN環境を構築していくにはある程度の知識が必要だ。

 そうして構築された無線LAN環境に、無線LAN機能を搭載したデジカメを参加させるのも実のところ、また一苦労だ。無線LANに接続する際には、通信の暗号化が欠かせないが、セキュリティを考えるとWPA2を使いたい。そうなると最低でも13文字のパスフレーズを入力する必要がある。しかし、デジカメには普通、キーボードなど文字入力専用のインタフェースが用意されていないので、ソフトウェアキーボードなどでポチポチと入力していくことになる。

 Eye-Fiは、そうした手間を解決するために専用のカードリーダーを用意し、同梱されるクライアントソフトを使って、PCからカードに接続情報を書き込むことができるようになっている。これによって、設定はPC上で行い、あとはカメラに差し込むことですぐに使えるようにした、というわけだ。

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