3Dディスプレイの実現は、コンテンツと同期しなければならない。Blu-ray Discの規格化など3Dコンテンツのパッケージ化と再生機器を整えるための規格整備が終わるのは、今年の年末ぐらいと予想されている。製品が出てくるとすれば、早くても2010年の前半、普通に考えれば後半ぐらいというのが妥当だろう。
意外に早いという印象を受けるかもしれないが、製品が出てきても普及までの歩みはさほど早くないかもしれない。
おそらくプラズマテレビはパナソニックが挑戦した120Hz駆動による3D化に進むだろうが、その実現には新規LSIの設計やプラズマそのものの改良など多数の技術的要素が絡むため、他社は追随が難しいだろう。一方、液晶は応答速度に問題があるため、120Hz化による3D対応は難しい。偏光フィルムを用いると解像度は半分になるから、これもできることなら避けたい。
こうした事情から、3Dディスプレイの品質が各メーカー間でそろい、一斉に「次は3Dテレビだ!」と叫び始めるまでには、今しばらくの時間がかかるだろう。販売数で他方式を圧倒する液晶テレビが3D化に問題を抱えているからだ。
ただし、液晶テレビを主力にしているメーカーが、3Dテレビを画素数が半分になっても良いから安価に実現したいと考えれば、意外に早く3D時代も到来する可能性はある。もしくは液晶パネルメーカーが3Dに対応するため、縦方向の解像度を2倍にしたパネルを生産すれば(2D映像は縦方向に2倍に引き延ばせばいい)フルHDの3D液晶テレビができあがるが、異なる生産設備を整えてまで3D化するか? というと疑問が残る。
一方、有機ELならば120Hz、あるいは映画館と同じ144Hzも難しくはないはずだが、3D映像の魅力は画面サイズがある程度大きくないと伝わりにくい。有機ELは、まず50インチ以上の大型化を果たさねばならないだろう。
このほかにも不確定な要素はたくさんある。一度、1つの方向に業界全体が動き始めると急に開発が加速したり、それまで陽の目を見てこなかった技術が突然顕在化するなんてことはよくある話だ。
一方、今年注目の技術や製品として、東芝の「Cell TV」、それにパナソニックの「Neo PDP」を挙げておきたい。
Cell TVは展示会場で流されていたデモ映像の質が悪く、本来の良さを訴求できていなかった面はある。が、画質だけでなく、新しいユーザーインタフェースの提案やネットワークコンテンツとの親和性向上、ネットサービスの活用など、Cellを搭載することで期待できることは多い。年末までにどこまで開発を進められるかが、この製品の魅力を高めていく鍵になるだろう。
ソニーはすでに一昨年から展示している27V型有機ELテレビに関して、21型も含めてより進んだバージョンの展示をしてはいるものの、発売時期に関しては明確ではないため、ここには挙げなかった。発売されれば話題になることは間違いない。
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