HDオーディオや、それに対応するHDMI 1.3aの登場により、AVアンプの大変革期となったのが2007年後半(→HDMI 1.3a対応AVアンプの選び方)。あれから1年が経過し、2008年の秋から年末にかけて登場した新しいAVアンプは、一昨年ほどの大きなトピックはないものの、各価格帯にスマッシュヒットを予感させる優秀機がいくつも登場してきている。
そこで今回は、昨年秋以降に登場したAVアンプの中でも、注目の高い6機種について詳しいテストリポートをお届けしたいと思う。第1弾として、ケンウッドの「KRF-V9300H-S」を取り上げよう。
ケンウッドがAVコントロールセンターと呼ぶKRF-V9300H-Sは、ケンウッドと日本ビクターの経営統合にともない設立された技術開発部門「J&Kテクノロジーズ」にとって最初の成果となる記念すべき製品だ。ケンウッド製AVアンプとしても久々の新モデルとなっている。
KRF-V9300H-Sのキャラクターを一言で表現するなら、「低価格でありながら本格的なAVアンプ」となるだろう。J&Kテクノロジーズによって開発されたHDMI/DSPモジュールは、HDMI 1.3aに対応。1080p、Deep Color映像信号はもちろん、Dolby True HDやDTS-HD MAといった最新ロスレス音声フォーマットやリニアPCMマルチチャンネルにも対応する。またテレビのリモコンなどから電源のオンオフやボリューム調整、入力切替などがほかの機器に連動するシステムリンク機能(HDMI CEC)を搭載。フルHD時代のAVアンプとして見劣りしないスペックを持ち合わせている。
音質を左右するDSPにもかなりのこだわりが見られる。採用されているのは、同社が「32bitフローティングポイントDSP」と呼ぶ新開発のシステム。信号処理速度を飛躍的に高めることによって、フルHD時代の膨大なデータも余裕を持って処理。微小信号まで余すことなく拾い上げ、高精細なサウンドを再現しているという。アンプ部には定格出力100ワットのアンプを7台搭載し、サラウンドバックを活用した7.1チャンネルのフルHDオーディオも堪能できる。
さらにありがたいのは、8万4000円という比較的リーズナブルな価格帯ながらも、付属の集音マイクを利用することで最適なホームシアター環境が簡単に設定できる自動音場調整機能「AUTO ROOM EQ」機能を搭載していること。しかも各チャンネル毎に最大128ポイントのきめ細かな周波数補正を行っているという。
このほか映像と音声のタイミングずれを修正するリップシンク機能やディスプレイ消灯とアナログビデオ回路の停止により高音質化をはかるピュアオーディオモードなど、これまでミドルクラス以上の製品でしか見られなかったさまざまな機能を搭載。価格を意識させない、充分以上の内容となっている。
さて、スペック的には充分以上のKRF-V9300H-Sだが、実際の使い勝手はどうなのだろう。
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