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120Hz駆動の“エコREGZA”が登場――東芝環境展

» 2009年02月08日 02時10分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 東芝は2月5日と6日の両日、東京・浜松町にある本社ビルで「第18回東芝グループ環境展」を開催した。同社が昨年11月に策定した「環境ビジョン2050」のもと、環境負荷を抑えた製品の開発や、製造・流通における温室効果ガス低減に関する取り組みを紹介するプライベート展示会。会場には、消費電力を抑えた液晶テレビ“REGZA”の試作機も並べられた。

photo REGZAの試作機は、37V型と42V型の2サイズ。いずれも倍速駆動の液晶パネルを採用している

 省エネを目指したREGZAの試作機は、37V型と42V型の2サイズ。おなじみのブーメラン型スタンドを備えた白いボディーを採用している。これは、昨年12月の「エコプロダクツ」(→薄型テレビはもっとエコになる)に出品したものと同一のデザインだが、「今回は120Hz駆動の液晶パネルを使用した」(同社)点が異なる。また、エコプロダクツの段階では発色の傾向が従来のREGZAと少し違う点が気になったが、今回はそれも改善されている様子。より製品に近い試作機といえそうだ。「倍速駆動はすでに必須。省エネ(がメインの製品)でも画質を落とすことはできない」(同社)。

 今回の省エネ技術のポイントは、液晶パネルに使う光学フィルムの改善だ。バックライトは一般的なCCFL(冷陰極管)を使用しているが、より効率よく光を透過するフィルムに変更し、バックライトの明るさ(=電力消費)を抑える。

 液晶テレビは、画質や視野角を改善するために偏光フィルムを用いるが、バックライトの光が通る際、フィルムの偏光性に直交する偏光成分以外は遮られて熱に変わってしまう。このため一般的な液晶テレビは、バックライトの光を半分程度しか有効に利用していないのが実情だ。

 ところが新しいフィルムでは、「従来は遮られてしまっていた光の位相を90度回転させ、使える光に変えることができる」(同社)という。フィルムメーカーなどの詳細については教えてもらえなかったが、これによってバックライトの電力消費を最大で30%程度抑えることが可能になった。なお同社では、今回の光学フィルムをLEDバックライトと組み合わせ、より省電力なテレビを開発することも検討していくという。

photophotophoto REGZAの梱包(こんぽう)もエコに進化した。以前はスタンドを取り付けた状態で出荷していたため、箱が大きく輸送時効率が悪かったが、現在は分割して省スペース&省資源化。10トントラック1台で従来の2.7倍の製品を運搬できるようになった。設置時の組み立てが前提になるため、配送を行う販売店の協力も不可欠だった
photophotophoto 「RD-G503」は、テレビの電源を入れなくても予約やその確認ができる液晶ディスプレイを装備(左)。展示では、なつかしい「RD-X1」を並べ、基板の集積度や消費電力を比較していた。エコになったのは分かるが、AVファンとしてはRD-X1の重厚さも捨てがたい
photophotophoto マグネシウムボディーの軽量ノートPC「dynabook SS RX1」は、半透過型液晶パネルとLEDのエッジライトシステムを採用。明るい場所(太陽光の下など)ではバックライトがなくても反射型液晶のように画面が見えるため、バックライトを消灯するスイッチを備えた。詳細は関連記事のレビューを参照してほしい

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