Adobe Premiereシリーズも昨年秋のバージョンアップでようやく対応を果たし、現在はメジャーな編集ソフトのほとんどがAVCHDへの対応を完了させている。次期OSのWindows 7でも標準で対応がうたわれるなど、AVCHD形式をめぐるPCの環境は着々と整いつつある。
ただし、非圧縮の状態では約1.5GbpsにものぼるHDの動画を、MPEG-4 AVC/H.264により高度に圧縮するAVCHDの仕様上、再生や編集の際にPCにかかる負荷は、これまでのDVやMPEG-2よりも格段に増している。もちろんこの状況は同じH.264で圧縮を行なうXactiシリーズのデータにもあてはまる。ここ最近はHD動画の再生支援をハードウェアで行なうグラフィックスチップが普及しつつあり、再生時の絶対的な負荷は軽くなっているものの、編集時にはさらに高い性能が要求される事態には変わりない。
そこでビデオ編集ソフトでは、少しでも負荷を軽くするため、編集前に圧縮率の低い別の形式へ変換してしまうものや、こちらもあらかじめ用意した低解像度のファイルで編集し、最終的な出力時にオリジナルのデータと置き換える「プロキシ編集」と呼ばれる仕組みをとるものが当初から多く、現在もこの状況が続いている。
動画編集ソフトには前述のAdobe Premiereシリーズを始め、ソニック・ソルーションズの「Roxio Creator 2009」、サイバーリンクの「PowerDirector」、コーレルの「Ulead DVD MovieWriter 7」などがあるが、今回は3月31日までの期間限定で30%オフ販売が行われている「Roxio Creator 2009」でAVCHDカメラの映像を編集する場合を例に、実際の編集の流れを簡単に見てみよう。
Roxio Creator 2009は統合ライティングソフトをベースに、ビデオ編集ソフト「VideoWave」やオーサリングソフト「MyDVD」の機能を統合したソフト。AVCHD編集の際はプロキシ編集の仕組みを利用するため、カメラからPCにデータを取り込む時だけ多少の時間を要するものの、取り込みが完了すれば快適に作業できる。
ダウンコンバートしてのDVD-Videoディスク作成やAVCHD形式でのディスク保存はもちろん、別売の「High-Def/Blu-ray Discプラグイン」を用いることで、BDMV形式によるBlu-ray Discのオーサリングも楽しめる。キャンペーン期間ならばソフト単体で7980円、Blu-ray Discオーサリング用プラグイン(2940円)を含めても1万円少々という価格も大きな魅力だ。
YouTubeのHD化が始まっていることもあり、今後はネットワークを介したHD動画の共有も進んでいくと思われるが、PCによるビデオ編集では、DVDやBlu-ray Discといった実際の「モノ」を作り、他人に渡すという楽しみが大きなウェイトを占める。高度な圧縮技術や記録メディアの進歩によってコンパクトかつ高画質を実現した、本特集で紹介するHDカメラでも、こうした楽しみを味わえる環境が整いつつあることは大いに歓迎したい。
次回からは、いよいよ各カメラの機能や画質、使い勝手について1台ずつ詳しく見ていこう。
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