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何を撮る? どれを選ぶ? 春のフルHDビデオカメラ特集 春のフルHDビデオカメラ(8)(1/2 ページ)

» 2009年03月06日 10時32分 公開
[都築航一,ITmedia]
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 ここまで今春のフルHDビデオカメラについて、トレンドデータ保存と編集と確認し、三洋電機「DMX-HD2000」 日本ビクター「GZ-HD320」 “キヤノン「HF S10」 ソニー「HDR-XR520V」 パナソニック「HDC-HS300」と各社最新製品を紹介してきた。

 本特集のまとめとして、この春登場したフルHDビデオカメラを選ぶポイントを、上記5製品に即して考えてみたい。とはいえ、後半で紹介したキヤノン、ソニー、パナソニックの3モデルは、いずれも各社の上位機であり、対象とするユーザー層が重なる「ガチンコ勝負」の様相を呈しているものの、前半で取り上げた2モデルは、今回取り上げた中には直接のライバルが存在せず、5台すべてを横並び比較することにはあまり意味がない。そこで、まずは前半で紹介した2モデルについて見ておこう。


気軽に持ち歩けるコンパクトさが魅力のDMX-HD2000とGZ-HD320

 三洋電機の“Xacti”「DMX-HD2000」は、縦型デザインや、ISO標準のMPEG-4を採用した記録方式など、独自性が際立つ1台。縦型のコンパクトなビデオカメラそのものが少なくなっている現在、どこへでも気軽に持って行けるコンパクトさは、シャッターチャンスを逃さないという観点から強い武器となる。一方、撮影した動画はPCでの再生を強く意識した描写ながら、付属のクレードルをHDMIケーブルでテレビにつなげっぱなしにしておけば、帰宅後すぐにテレビで見られる手軽さも見逃せない魅力といえる。

photophoto “Xacti”「DMX-HD2000」(写真=左)、“Everio”「GZ-HD320」(写真=右)

 コンパクトさでいえば、日本ビクター“Everio”「GZ-HD320」も、今春登場したフルHD対応のHDD搭載機の中で最も小さい。サイズと記録メディアの容量を最優先するのであれば、候補の最右翼になる。ライバルは今春モデルでいえばソニー“ハンディカム”「HDR-XR100」あたりだが、同じハンディカムでもHDR-XR100と今回紹介した「HDR-XR520V」では撮像素子をはじめとした基本スペックも異なることから、画質も異なると予想される。

photo 「HDR-CX120」

 なお、HDD記録にこだわらず、とにかくコンパクトなフルHDビデオカメラを、という向きには、ソニーの「HDR-CX120」が55(幅)×107(奥行き)×60(高さ)ミリで、GZ-HD320を抜いて今春モデルで最小となる(HDR-CX120の記録メディアは、内蔵16Gバイトメモリ&付属の16Gバイトメモリースティック)。

 三洋電機と日本ビクターの2製品は、ともに価格がこなれてきており、気軽に持ち出せるだけでなく、気軽に買えることも大きなポイントだろう。

求める性能・機能で評価がわかれる3モデル

 残るハイスペックモデル3機種については、ガチンコ勝負とはいえ、フルHDならではの精細さを突き詰めたキヤノン“iVIS”「HF S10」、暗所や手ブレといったフルHDカメラの弱点を克服したソニーの“ハンディカム”「HDR-XR520V」、そしてオート機能の進化により、狙った被写体を確実にとらえるに注力したパナソニック「HDC-HS300」と、方向性はそれぞれ異なる。各モデルの得手・不得手を理解し、自分の求めるものと合ったカメラを選びたい。

 日中の屋外などの十分に光量が得られるシーンでは、文句なくiVIS HF S10の精細さが抜きん出ている。iVIS HF S10は24Mbpsという高ビットレートでの記録が、圧縮ノイズの抑制と高画質化に大きく貢献している。一方、夜間の室内や夜景など、明るさが十分に得られない場面では、裏面照射型の「Exmor R CMOS」を新開発することで暗部ノイズを劇的に低減したHDR-XR520Vが際立つ。HDR-XR520Vでは、美しいボケ味を生み出せる虹彩絞りの採用も高画質に一役買っている。なお、画質には直接関係ないものの、ハイスペックな液晶モニターの搭載により、撮影時からフルHDならではの精細さを堪能できるのもHDR-XR520Vの魅力で、この点では他社に圧倒的な差をつけている。

photophoto “iVIS”「HF S10」(写真=左)、“ハンディカム”「HDR-XR520V」(写真=右)
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