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補助スピーカーを用いた“音忠実再生技術”、東芝などが開発薄型テレビにも?

» 2009年03月16日 15時17分 公開
[ITmedia]

 東芝は3月16日、補助スピーカーを用いることで原音を忠実に再生する「音忠実再生技術」を発表した。京都大学大学院工学研究科・都市環境工学専攻の伊勢史郎准教授、および京都大学ベンチャー企業の有限会社アクティモと共同開発。小型・薄型AV機器の高音質化に貢献するという。

 一般的に、標準筐体(きょうたい)のスピーカーでは、筐体や支持部分の剛性不足などが原因で、発生する音の4割程度が“原音以外”の音という。この余分な“原音以外の音”を、補助スピーカーから発生させる逆位相の音で打ち消し、原音だけを残すというのが新技術の骨子。補助スピーカーの制御には、原音パルス波形のみを残すインパルス応答最適化制御を使用することで、スピーカー出力波面を時間領域で忠実に“整形”できるという。

photo 時間領域の改善。出典は東芝のニュースリリース

 小型・薄型AV機器に使用される薄肉ABS筐体のスピーカーにも有効。今回の技術を適用すると、原音以外の音を90%以上低減させることが基礎実験によって確認された。さらに、周波数領域のフラット化についても、イコライザーなどを使用する従来の方法と同等以上の効果が実現できるという。

 今後は、製品に搭載するための課題解決を中心にした研究開発に取り組む方針。なお今回の研究成果は、3月17日から開催される日本音響学会2009年春季研究発表会で発表する予定だ。

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