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お部屋にアートなインテリア、バンダイ「A.i.R. Project」始動第1弾は「青の軌跡」

» 2009年04月08日 19時34分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 バンダイは4月8日、アーティストと共同で新しいトイを開発するプロジェクト「A.i.R. Project」を発表した。第1弾商品は、メディアアーティストとして知られる鈴木太朗氏の作品「青の軌跡」を16分の1スケールにダウンサイジングしたインテリアアート。価格は5万2500円。

photophoto 「A.i.R. Project 青の軌跡」

 A.i.R.プロジェクトを担当するバンダイ・プレイトイ事業部の近藤創氏によると、A.i.R.は「Art in the Room」の略。「生活空間で楽しめるアートを提供する」ことをコンセプトにしている。玩具メーカーであるバンダイが芸術作品を商品化することについては、「大人にとってのアートは、子どもにとってのおもちゃ同様、心を広く、豊かにしてくれるもの。部屋の中に常にアートが存在する生活を提案したい」と話している。

 同プロジェクトでは、今回のようなアート作品のダウンサイジングを中心に、年に1回程度のペースで新作を出していく予定。アーティストとの共同開発や若手アーティストの発掘なども視野に入れるという。

 第1弾となった「青の軌跡」は、鈴木氏が2003年に発表し、芸術科学会DiVA展大賞や平成15年度の文化庁メディア芸術祭アート部門奨励賞を受賞したメディアアート作品だ。テーブルほどの本体に正方形の穴が規則正しく並べられ、にじむような青い光が美しい模様を作り出す。それぞれの穴には、光源となる青色LEDとプロペラが仕込まれており、プロペラの風で表面のオーガンジー布を押し上げることで光がにじんだように見せる仕組み。人が近づくとセンサーが反応して光が“寄ってくる”といったインタラクティブ性も併せ持っている。

photophoto オリジナルの「青の軌跡」。縦横1メートルのテーブルサイズで、49個の正方形が規則正しく並んでいる

 「A.i.R. Project 青の軌跡」は、大きさは違っても作品のコンセプトから内部構造、素材までを忠実に再現している。正方形の穴は25個(縦横5個)だが、それぞれにプロペラを設けて表面の布を持ち上げる仕組みは同じ。「当初はスイッチなどを使って簡略化しようと試みたが、独特の“光のにじみ”がプロペラとオーガンジー布の組み合わせ以外では出せなかった」(近藤氏)という。もちろん、4つの側面にセンサーを備え、手を近づけると光が“寄ってくる”。

photophoto 商品概要(左)。オーガンジー布を外したところ。1つ1つの穴にプロペラが見える(右)

 動作モードは、光の模様がランダムに現れる「鑑賞モード」と、4つの側面に搭載したセンサーに反応する「インタラクティブモード」の2つ。電源を入れると、鑑賞モードになり、センサーに反応があるとインタラクティブモードに移行する。毎日、同じ時間に動き出すように設定することも可能だ。

photophoto 手を近づけると光の動きが変わる(左)。背面の時計で起動時刻を設定できる(右)

 発表会に同席した鈴木太朗氏は、「展示会などで『これは買えないの?』と尋ねられることもあり、(商品化によって)要望に応えられるのがうれしい」とコメント。「メディアアート作品が生活の中に入ることは少ないが、A.i.R.プロジェクトは良い機会になるのではないか」(鈴木氏)。

photo メディアアーティストの鈴木太朗氏(左)とバンダイ、プレイトイ事業部の近藤創氏

 「A.i.R. Project 青の軌跡」は、4月下旬に発売予定。主なターゲット層は30歳以上の男女で、「BALS TOKYO」や「IDEE」といったインテリアショップ、およびバンダイの通販サイトで販売する。

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