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最新薄型テレビにみる“節電”のテクニック新生活テレビ特集(2)(3/3 ページ)

» 2009年04月17日 17時34分 公開
[ITmedia]
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 現在のDIGAシリーズには、電源オンとオフのほかに“クイックスタートオンのスタンバイ状態”を含めた3つの状態があり、VIERA側の動作状況によって使い分けている。例えばシステム全体がオフの状態からテレビの電源を入れると、DIGAは“半分起きて”(クイックスタートオンのスタンバイ状態)待っているため、電源が入れられたときにあまり時間をかけずに録画番組一覧などを表示できる。

 逆にVIERAがオフになると、DIGAも熟睡(電源オフ)して、フロントパネルの時計表示まで消える仕組み。「クイックスタート」自体は以前のモデルから搭載していたが、半分起きた状態(待機時)は電源オフ時に比べて待機消費電力がかなり増える点がネックだった。VIERAリンクを活用して、その時間を最低限にとどめたというわけだ。

東芝、日立は視聴環境画質対応

 VIERAの場合は、節電しながらAVシステムの操作性を高める事例といえそうだが、東芝や日立製作所の新製品が搭載している“自動画質調整”は、操作性と節電、そして画質の3つを一気に満足させようとする欲張りな機能だ。パイオニアが「リビングモード」という名称で先鞭をつけ、現在では東芝の「おまかせドンピシャ高画質」と日立製作所の「インテリジェント・オート高画質」が双へきといえる。

 冒頭で触れたように、周囲の明るさを感知して画面の明るさを変える“明るさセンサー”は多くの製品が採用している、いわば定番の節電機能。それを発展させ、周囲の明るさに加えて、照明の色(蛍光灯色、電球色)、視聴している番組のジャンルなどを参照して、画質をきめ細かく調整する。

photophoto 新型Woooの3シリーズは、照明の色を検知するカラーセンサーを搭載しているのが特徴。またテレビCMでおなじみのバオバブの木“日立の木”を模した「エコメーター」で、節電の状態が一目で分かる
photo 東芝の「42Z8000」。「おまかせドンピシャ高画質・プロ」を搭載する

 例えば部屋の中が暗くなったとき、単純に画面を暗くするだけでは暗部階調性が損なわれて見にくい画面になってしまう。それを回避するには、色温度やガンマ、シャープネスなど画質の調整項目をきめ細かくコントロールする必要があるのだが、毎日、暗くなるたびに画質調整画面をいじる人などいないはず。わずらわしい設定をテレビに任せてしまっても、画質が改善されて同時に節電にもなる自動画質調整は、メリットが大きく、デメリットがほとんどない機能だ。

 既に2世代めとなる東芝の自動画質調整は、名称が「おまかせドンピシャ高画質・プロ」(Zシリーズに搭載)となり、新たに人間の視覚反応の1つである「明暗順応」に合わせた補正がくわえられた。人は、いきなり暗い場所に入ると目が順応するまでに150〜180秒かかるが(暗順応)、照明をつけたときや明るい場所に出たときは20〜30秒で順応できる(明順応)。この時間差に着目して周囲の環境(明るさ)が変化した際に画質を切り替える時間を調整するという、非常に芸が細かい画質調整機能だ。


 省エネテレビを購入する際、知識のある人なら、カタログで「消費電力」や「年間消費電力量」をチェックすることだろう。ただし、これらの数値は一定の条件で計測したものであり、今回取り上げたような付加機能による“実運用時の節電”はほとんど加味されていない。例えば「年間消費電力量」は、テレビをスタンダードモードで1年間平均的な使い方をしたときの電力消費量であり、自動消画や自動画質調整が画面の明るさを落とすことは想定されておらず、数字にも節電機能の効果は現れない。

 つまり、これらの機能をうまくライフスタイルに取り込むことで、テレビはカタログスペック以上の節電効果を上げてくれるはず。自分のライフスタイルに合った機能を持つテレビを選択することが、節約とエコロジーの近道といえるだろう。

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